『先キス』
☆11☆
な「っ!えっ??…あっ!……ピッ!」
慌てて音を消す私を見て、ふふっw と先生が笑うと…
キーンコーンカーンコーン♪
チャイムが鳴った。
中「メールでええから。気が向いたら、教えてや?」
な「えっ?///…や、あのっ!//」
焦りで、何を言いたいのかも分からない。
そんな私を横目に「ほなな?」と言って、スマホをポケットに戻しながら、先生は歩き出した。
その後ろ姿。
カッコいい〜〜♡
なんて、ガッツリ見惚れてたら…
中「チャイム鳴ったから、急げ?」
振り返っての、なんとも言えない優しさが溢れてる その言葉。
な「……は、は、は、はいっ!//」
有頂天になり、一歩踏み出すと…
中「走るな!」
な「は、はいッ!」
☆12☆
はっ!と振り返ると、少し離れた場所に、微笑む先生が居て…
その微笑みを、ずっと見ていたくて…
私はそのまま少しずつ、後ろ向きで廊下を進んだ。
中「はよ行けぇ〜w」
な「ふふっw は〜いww」
なんだか…
悪くない♡
な「と〜もちゃん♡」
と「……聞くの辞めとく。」
な「なんでぇ〜〜?めっちゃ話しちゃった!それにね?メアドもゲットしちゃったの!凄くない?」
と「っ!はぁ〜〜ん??メアド?」
な「うん!教えてくれた!」
と「ちょ、チョット待って?それって、怪しくない?」
な「怪しい?何が?」
と「先生と生徒が、メールで連絡取らないでしょ?普通は?」
な「う〜ん?分かんない?」
と「分かるでしょ?辞めた方が良いよ?」
な「そんな怪しくなんて無いよぉ〜〜中間先生、良い人だよ?」
と「…悪い事は言わないから…ね?」
☆13☆
こういう時、親友なら…
一緒に喜んでくれるんじゃ無いの??
な「どうして ともは…私に冷たいの?」
と「…えっ?…私……冷たくしてるつもりなんて…ないよ?」
な「…そ、そうかな?」
「席付けぇ〜〜授業始めるぞぉ〜」
その先生の一言で、私達は不穏な空気のまま、離れた。
とも…
どうして??
私達って………親友…だよね……?
神「なゆ〜帰ろう?」
な「あ、うん。」
と「へぇ〜!なゆ、普通に帰るんだ?」
な「……どういう意味?」
と「珍しいなぁ〜と思って。」
神「最近、一緒に居らんからな?俺らと。」
と「私、用事あるから。じゃね?」
とも…やっぱりオカシイ。
私、嫌われたのかな?
神「___なゆ?……オイッ!なゆッ!!!」
な「んへ??」
神「なんやねん?心はどこに置いてきたん?」
な「……さ、さぁ…」
☆14☆
神「最近、ホンマ変やで?」
な「…そ…かな?」
神「一緒に居らんし、居っても上の空やし…全然、周りが見えてへんやん。」
私、恋してるんだよ。
だから…
な「神ちゃんは…恋してないの?」
神「っ//!…な、なんや?急にッ?///」
な「好きな人とか…居ないの?」
神「そ、そりゃあ……居るよ…///」
な「じゃあ、分かるでしょ?恋すると、周りなんて見えない……もう止まらないの…止められない。」
恋したから…
ともは、私に冷たいのかな?
周りが見えてないからって…
な「神ちゃんまで…冷たくならないで欲しいなぁ……」
神「っ!……お、おん…」
な「ごめんね?板挟み…」
神「…え、ええんよ!アホか?謝んなよ!」
な「うん…」
神「お、おん!大丈夫や!なゆ、頑張れよ!」
な「うん!ありがとう!」
神ちゃん…
やっぱ神だなぁ〜w
神ちゃんが親友で良かったぁww
☆15☆
皆さん お気付きでしょうが…
私が、中間先生に恋をした事をキッカケに…
3人の友情が、形を変えていってしまったのです。
な「難しいなぁ……」
先生のメ〇ドをゲットしたにもかかわらず…
何て書けば良いのか分からない。
てかっ!!!
違うことに気が取られてる私。
な「はぁぁぁぁ〜〜…………とも…」
あ!そっか!
{な:親友との仲が上手くいかない時って、どうしたらいいと思いますか?}
中間先生に相談してみよう!
けど…
送信ボタンを押す指が、震えてる。
別に告るワケじゃないのに…
中間先生なら、きっと素直に相談に乗ってくれる。
きっと…
エイッ!!!ピッ!送信!!!
私が、意を決して 送信ボタンを押したにも関わらず…
その夜、先生からの返信は無かった。
☆16☆
っふぁぁぁぁ〜〜〜〜っ!
大きな大きな あくびをしながら、学校へと歩く。
昨日とは打って変わって、私のテンションは、ダダ下がり。
と「あ……おはよ…」
これまたテンション下がりきってる、ともの「おはよ」だ。
な「…お、おはよ。」
同じテンションで返す事しか出来なくて…
下駄箱で会った私達は、別々に教室へと向かった。
その途中。
「なゆ!」
っ!!!えっ///!!!
そ、その声は!
振り返ると…
やっぱり中間先生だった。
近付く先生にキョドりながらも…
あ//…あいさつしなきゃっ!!!
な「お、おはようございます!!!」
中「おはよう!メール見たで?悩み事か?」
な「えっ?…あ、はい!」
中「ほな…昼休みで ええか?」
な「え?」
中「聞いてもらいたいんやないのか?」
な「…は、はい!お願いしますっ!!!」
☆17☆
中「じゃ、昼休みな?」
な「は、はいっ//!!!」
去っていく後ろ姿…
相変わらず…カッコイイ〜♡
昨日みたいに、振り向けっ!
心で、そう祈った瞬間!
中「はよ教室 行け〜w」
っ///!!!
ふ、振り向いたぁ〜!!!
その笑顔…マジ完ぺき♡
な「//…は〜〜いっww」
んもぉ〜〜っ!!!
お昼休み、待ちきれないっ!!!
しかも!皆んな気付いてた??
私……名前で呼ばれたのぉ〜///
何この、一気に距離が縮まった感!
めっちゃ嬉しい♡
私のテンションは上がっていき、ニヤけ顔が治らずに、教室へと入った。
神「お!なゆ、おはよ〜」
な「か〜〜みちゅぁ〜〜んっ!」
神「な//…なんや?…テンションやばいで?」
な「ふふっw おはよっ!」
☆18☆
な「ふふっw おはよっ!…捨てる神あれば拾う神ありだねぇ〜〜ww」
神「??拾われたん?」
な「まぁねぇ〜w」
神「誰に?」
な「せ・ん・せ・い♡」
神「っ!…また先生か……」
な「春かもなぁ〜//」
神「……そっか。良かったな…」
うん、うん!
いい事も あるもんだよ!!!
私は、完全に浮かれていた。
周りの様子も分からない、誰の言葉も響かない。
ただ私の世界に居るのは…
中間先生だけ。
そんな感じだったんだ。
昼休み。
私は、一目散に職員室へ向かった。
ガラガラっ!
中「お!なゆ!」
ナイスタイミングで職員室から出てきた中間先生。
けど…
そんな中間先生の後ろから、他の女子生徒が付いて出てきた。
中「なゆ、ごめん。チョット座って待っとって?」
な「え……あ…はい…」
☆19☆
私は、職員室の隣の部屋の前に置かれたベンチ椅子に座らされ…
その部屋へ入って行った、先生と女子生徒を見送った。
これって……何なの?
見上げると、ドアの上に掲げられた表札には…
『相談室』
こんな部屋あるの、知らなかった…
しばらくしてドアが開き、先生と女子生徒が出てきた。
中「大丈夫やと思うけど…心配やったら、また いつでもおいでや?」
先生は そう言うと「ありがとうございました!」と一礼する女子生徒に、微笑みかけた。
中「お待たせ!…??なゆ?…どないしたん?」
な「……えっ?」
中「や、「えっ?」やあらへんで?どうして泣いとんねん?」
やだ!
私、なんで??
慌てて涙を拭った。
中「とりあえず、中に入り?」
な「…あ、あの……やっぱり、いいです…」
☆20☆
な「…あ、あの……やっぱり、いいです…」
中「え?えっ?…なんでや?」
な「すみません!失礼しますっ!!!」
中「あ!チョ、なゆ!…走るな!…」
廊下を走りながら、思い出した。
少し前に配られた学校からの配布物。
校内でのトラブル解決の為の、相談メールができたと、記載されていた。
勘違いにも、程がある。
先生が自ら、自分のメ〇ドを教えるわけ無いんだから。
浮かれて何も見えてなかった私は、
どこかで、自分だけが特別なんだと思い込んでしまっていた。
なんて私はバカなんだ…
自分の愚かさが辛かった。
私は誰かに、すがりたかったのだろう。
気付くと…屋上に居た。
幾つものグループが輪になって、楽しそうにお昼ご飯を食べていた。
と「…なゆ?」
神「ん?…あ!ホンマや!なゆ〜!」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。