第23話

21話 コーヒーの香りと鉄の匂い
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2026/02/03 11:53 更新
久々のジャムつきパンを頬張る中。

急に立ち上がったおじいちゃんに、全員分の視線が集まる。

キッチンに向けて一歩進むと、こちらの方へ振り返った。
おじいちゃん
コーヒーを淹れようと思うんじゃが、みんなもどうかな?
ドズル
お願いします
ぼんじゅうる
あ、俺も〜
即座に反応する僕とぼんさん。
現実世界(リアル)ではお世話になっていたので、恋しくなっていたところだったのだ。
同じく現実世界(リアル)の人間であるおじいちゃんは、僕らの食いつきように納得したように笑って頷き、おんMENへ向き直る。
おじいちゃん
MENとおんりーチャンは?
おおはらMEN
俺は………大丈夫です
おんりー
…………俺も
おじいちゃん
了解
おじいちゃんがキッチンに向かうと、コーヒーを淹れ始めた。
ドズル
おじいちゃん、手際いいな
ぼんじゅうる
向こうでよく飲んでたんじゃない?
ドズル
確かに。僕もよく飲んでたし
無駄のない動作でコーヒーを淹れていくおじいちゃんを尻目にそんなことを言っていると、正面から小声の会話が聞こえてきた。
おんりー
MEN…………こーひー、って何?飲んだことない
おおはらMEN
えっと……豆を煎じて淹れる飲み物で、おじいちゃんがよく飲んでる
おんりー
MENは飲まないの?
おおはらMEN
おう。なんか喉が拒絶してるから
おんりー
苦いの?
おおはらMEN
苦いっていうか、眠気覚ましっていうか……
おんりー
……………?
首を傾げるおんりーに説明を試みるも、うまく言葉が出てこない様子。

思わずぼんさんと顔を合わせて頬を緩ませる。
ぼんじゅうる
聞いた?眠気覚ましだって。MENも徹夜で発明とかすんのかな
ドズル
しそうではありますね。懐かしー………昔受験のお供だったなぁ
ぼんじゅうる
ドズさんはエナドリじゃなかったっけ?
ドズル
昔はね。今はすっかりコーヒーにハマってます
ぼんじゅうる
そっか。確かに学生の時はコーヒーとか淹れてる間なかったもんなぁ
ドズル
それでも豆から淹れたことはないですね。だからあんなに手際よく淹れられる人は尊敬します
そのとき、キッチンからカチャっと食器が触れる音がした。


おじいちゃんがコーヒーを淹れ終わったのを感で察知したので、僕は席を立ち上がる。






しばらくの間、僕らはコーヒーの香りとともに、穏やかな空気に包まれた。
コーヒーを飲み終わった後。

ジャムへの感謝の意思を表明するべく皿洗いを引き受けた僕らは、キッチンに並んで立っていた。
ぼんじゅうる
ジャムとコーヒー、美味しかったあぁー…………
ドズル
さっきからそれしか言いませんね
ぼんじゅうる
いやーほんとに、久々にパンになんか塗って食べたわ
ドズル
ぼんさん、現実世界(リアル)では毎日それでしたからね
ぼんじゅうる
そう。黙ってはいたんだけど正直限界だった
そんな事を話しながら、着々と皿を洗い進めていく。
二人いるので、僕が洗ってぼんさんが拭くという分担作業も成立している。

僕らはジャムやコーヒーの感想を言い合いながら、着々と洗い進めていった。

皿が重なる音が、どこか心地いい。























洗い始めてから数分後。

洗う枚数がそもそも少なく、二人がかりだったというのもあって、皿洗いはすぐ終わった。
ぼんさんが最後のコップを静かに置いた音が、静かなキッチンに響く。
ぼんじゅうる
めずらし。ドズさんが皿割らなかった
自分の手を洗っていると、聞き捨てならない内容が聞こえたので振り返る。
ドズル
ぼんさんこそ。いつもなら濡れた皿に手を滑らせて二、三枚割ってたのに
ぼんじゅうる
聞こえてたの!?
ドズル
逆に聞こえないとでも?
ぼんじゅうる
地獄耳…
ドズル
ぼんさーん?
そんな会話を交わしつつ戻ると、そこにはおじいちゃんしか居なかった。
ぼんじゅうる
あれ、おんりーチャンとMENは?
おじいちゃん
おんりーチャンは外で散歩。MENは書斎で読書中じゃよ
ドズル
書斎って………確か、あの扉?
僕が指さしたのは、ここから廊下に出てすぐにある扉だった。
ここには仕切りがないので、この会話はおそらく書斎に筒抜けだ。
おじいちゃん
そうじゃよ
ドズル
………なるほどね
おじいちゃんが頷いた事で、僕はおじいちゃんの喋り方がおじいちゃんのままな理由を察した。


おじいちゃん
もう一杯、どうかな?
ドズぼん
お願いします
即答だった。それほどまでに美味しかったのだ。
笑顔で頷き、キッチンへ向かうおじいちゃん。
ドズル
座ってますねー
おじいちゃん
はーい
待つ間特にすることもないので、今度はリビングのソファに座り、残ったコーヒーの残り香を堪能することにした。
ぼんさんも座り、窓から見える庭をぼうっと眺めた。
窓から差し込む光は温かく、僕はそっと目を閉じた。

どのくらい経っただろうか。

静かな時間が流れる中、玄関の方から芝生を踏み締める音が聞こえてきた。
ぼんじゅうる
おんりーチャンかな?
コーヒーカップを傾けながら、ぼんさんが言う。
しかしその足跡は、散歩帰りのようなのんびりしたものでは無くて。
おじいちゃん
…………ん?
おじいちゃんの眉が訝しげにピクリと動き、そのままカップを置いた。
カチャっという音が鋭く響く。



3人分の視線が集まる中、玄関の扉が蝶番(ちょうつがい)が悲鳴をあげそうな勢いで蹴り開けられる。
おんりー
おじいちゃんッ!!!
滅多に聞かないほどの大きな声と共に、おんりーが中へ飛び込んできた。
彼の背には、そんなに体格の変わらない少年が背負われている。

全力疾走の勢いを殺しきれず、おんりーは床を靴の踵で削りながらリビングの中央まで滑り込んできた。
表情はいつもと同じように見えるが、瞳の奥に驚きと焦燥が見え隠れする。
おんりー
はぁ、はぁ……外の、森の奥の方に……!
おんりーの呼吸は荒いが、その足取りには微塵の揺らぎもない。
数十キロの人間を背負って、森の斜面を飛ぶように走ってきたのだろうが、改めておんりーの体力とスタミナを思い知った。

おんりーの肩でぐったりしている男の子の顔色は、だいぶ悪い。
先程までリビングを支配していたコーヒーの穏やかな香りが、森の湿り気と鉄の匂いに、瞬時に上書きされた。
風月(主)
風月(主)
ふと、過去の話を読み返してみたんですよ
風月(主)
風月(主)
すると、こんなアンケートを見つけまして
※1話(prologue入れるなら第2話)のあとがき参照
風月(主)
風月(主)
まず、44票もありがとうございます!
風月(主)
風月(主)
1話が大体1200〜1300くらいで書いてたんですけど、
今見たらアンケで「短い」って言われてたんで長くしてみました!
初めて2000文字超えたよ……(震)
風月(主)
風月(主)
どうですか?
風月(主)
風月(主)
アンケの結果によっては1話の長さを調整します!
長さによっては投稿が更に空くかも(小声)

アンケート

長さどんなですかー?
長すぎるって!!
2%
ちょうどよくなったわ👍
49%
まだ短いんだが?
49%
投票数: 41票



追記
なんかR18なりました。解せぬ。
追追記
↑直りました。

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