第22話

柱合会議《壱》
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2024/12/09 10:56 更新
<胡蝶side>
鬼殺隊本部。
そこに、鬼殺隊最強の称号を与えられた9人の柱が集まっていた。
私達の目の前には、傷だらけで羽織を脱がされた気を失っている竈門炭治郎くんが。
その横では、隠の……確か、後藤という名の人が竈門くんを起こそうと声をかけている。
男性
起きろ。起きろ、おい、おい!やいテメェ、やーい!!
私達柱の前だというのに、なかなか竈門くんが起きないことに腹を立てた隠の人の言葉が段々と汚くなる。
そして遂には、目を逆三角形に吊り上げ、腕を振り上げて怒鳴った。
男性
いつまで寝てんだ!!
さっさと起きねぇか!!
その言葉でやっと目を覚ましたのか、竈門くんがハッと私達を見る。
男性
柱の前だぞ!!
隠の人のその言葉に混乱しているように、竈門くんが驚いた顔のまま眉を寄せる。
入隊したばかりだと聞いているから、きっと柱の存在も知らなかったのだろう。
宇髄天元
何だぁ?鬼を連れた鬼殺隊士っつーから、派手なヤツを想像したんだが…、地味な野郎だなぁ、オイ。
宇髄さんがそう言うと、竈門くんは少し反応する。

甘露寺さんが、何かを思ったように口元に手を当てた。
煉獄杏寿郎
うむ!これから、この者の裁判を行うぞ!なるほど!!
煉獄さんは、誰かと喋っているのだろうか。

自分で言った言葉に、自分で納得している。
胡蝶しのぶ
ここは鬼殺隊本部です。貴方は今から裁判を受けるのですよ。竈門炭治郎くん。
私が言うと、竈門くんは呆気にとられたようにしばらく呆然としていた。
だが、ふと、竈門くんが辺りをキョロキョロと見渡す。
妹だと言っていた鬼の少女を探しているのだろう。
煉獄杏寿郎
裁判の必要などないだろう!鬼を庇うなど、明らかな隊律違反!我らのみで対処可能!!鬼諸共、斬首する!!
宇髄天元
ならば俺が派手に首を斬ってやろう。誰よりも派手な血飛沫を見せてやるぜ。もう、派手派手だ。
元気に言ったのは、煉獄さんだ。
悲鳴嶼行冥
ああ、何というみすぼらしい子供だ、可哀想に。生まれてきたこと自体が可哀想だ。
悲鳴嶼さんが数珠をジャラジャラと鳴らしながら涙を流す。
その間も、時透くんはずっと空を見上げている。
伊黒小芭内
そんなことより冨岡はどうする?拘束もしていない様に俺は頭痛がしてくるんだが……。胡蝶めの話によると、隊律違反は冨岡も同じだろう。どう処分する、どう責任を取らせる、どんな目に遭わせてやろうか。
ふと、木の上から声がした。

伊黒さんが、ネチネチと遠くにひとりぼっちでいる冨岡さんを責めているのだ。

まあ、言われた冨岡さんは顔色ひとつ変えていないが。
胡蝶しのぶ
まあいいじゃないですか。大人しくついてきてくれましたし。処罰は後で考えましょう。それよりも私は、坊やの方から話を聞きたいですよ。坊やが鬼殺隊員の身でありながら、鬼を連れて任務に当たっている。そのことについて、当人から説明を聞きたい。もちろんこのことは、鬼殺隊の隊律違反に当たります。そのことは知っていますよね?
私が言うと、竈門くんはハッとしたような顔をした。

だが、竈門くんが何かを言う前に、宇髄さんが背中の日輪刀の柄に手をかける。
宇髄天元
聞くまでもねぇ!!
胡蝶しのぶ
ゆっくりで大丈夫ですから、話してください。
竈門炭治郎
禰豆子は、禰豆子は俺のいも_っ!
竈門くんはそこまで言って、激しく咳き込んでしまう。

顎を痛めているから、当然だろう。
胡蝶しのぶ
水を飲んだ方がいいですね。
私が言いながら竈門くんに近寄って、水の入った瓢箪を差し出すと、竈門くんは一瞬だけ迷うように私を見た。

だが、私がそれに笑みを返すと、竈門くんは勢いよく瓢箪の口に噛み付く。
胡蝶しのぶ
顎を痛めているので、ゆっくり飲んでください。鎮痛薬が入っているので、楽になります。怪我が治ったわけではないので、無理はいけませんよ。では、竈門炭治郎くん。
しばらく飲み続けて、竈門くんは瓢箪から口を離した。

そして、一息ついた後、竈門くんはゆっくりと話し始めた。
竈門炭治郎
鬼は、俺の妹なんです。俺が家を留守にしている時に襲われ、帰ったらみんな死んでいて……。妹は鬼になったけど、人を喰ったことはないんです。今までも、これからも、人を傷つけることは絶対にしません!!
伊黒小芭内
くだらない妄言を吐き散らすな。そもそも、身内なら庇って当たり前。言うこと全て信用できない。俺は信用しない。
竈門くんのその言葉に反応するように、伊黒さんが言った。
悲鳴嶼行冥
ああ、鬼に取り憑かれているのだ。早くこの哀れな子供を殺して解き放ってあげよう。
話を聞いてくれないみんなを見て、竈門くんは慌てたように口を開く。
竈門炭治郎
禰豆子が鬼になったのは2年以上前のことで、その間禰豆子は人を喰ったりしてない!!
宇髄天元
話が地味にぐるぐる回ってるぞ、アホが。人を喰ってないこと、これからも喰わないこと、口先だけでなく、ド派手に証明して見せろ。
その言葉に同意するように、竈門くんを斬首するべきと思っている人達が頷く。
甘露寺蜜璃
あの〜、
そんな中、甘露寺さんの高く澄んだ声が響いた。
甘露寺蜜璃
でも疑問があるんですけど……、お館様がこのことを把握していないとは思えないです……。
甘露寺さんが恐る恐る言った言葉に、死刑に同意していたみんなが黙り込む。
それに畳み掛けるように、甘露寺さんが言葉を続けた。
甘露寺蜜璃
勝手に処分しちゃっていいんでしょうか……?いらっしゃるまで、とりあえず待った方が……。
その、みんなが黙り込んだ隙を見て、竈門くんが叫ぶようにして言った。
竈門炭治郎
妹は、妹は俺と一緒に戦えます!!鬼殺隊として、人を守るために戦えるんです!!
その言葉に、その声に、私達は目を見開く。

竈門くんがうそをいっているようには見えなかった。
竈門炭治郎
だから__!!
不死川実弥
おいおい、なんだか面白いことになってんなァ。鬼を連れた馬鹿隊員ってェのはそいつかい?一体全体、どういうつもりだィ!?
竈門くんの言葉を遮るようにして言葉を発したのは、片手に箱を持った不死川さんだった。
あの箱は、竈門くんの妹さんが入った箱だ。
胡蝶しのぶ
不死川さん、勝手なことをしないでください。
思わず、棘のある声が出た。
だが、不死川さんはそんな私に構う素振りも見せず、竈門くんに向き直った。
不死川実弥
鬼がなんだってェ、坊主ゥ。鬼殺隊として人を守るために戦えるゥ?そんなことはなァ、ありえねぇんだよ、馬鹿がァ!!
そう言って、不死川さんは素早く日輪刀を抜き、箱に突き刺した。
中からくぐもった呻き声が聞こえ、箱からポタポタと赤い液体が滴る。
それを見て、竈門くんが目を見開いた。
竈門炭治郎
俺の妹を傷つける奴は、誰であろうと許さない!!
そしてそう叫び、不死川さんの方へと走っていく。
冨岡義勇
やめろ!!もうすぐお館様がいらっしゃるぞ!!
遠くにいるとはいえ、一部始終を見ていた冨岡さんが2人を止めようと口を挟む。
その言葉に、不死川さんの動きが一瞬止まった。
その隙を見逃さず、竈門くんが不死川さんに思い切り頭突きを食らわせた。
ゴッと鈍い音がして、2人共地面に倒れ込む。
みんなが、それを見て目を見開いた。
もちろん、私も。
伊黒小芭内
冨岡が横から口を挟んだとはいえ、不死川に一撃を入れた……。
ポツリ、と伊黒さんが呟いたのが聞こえた。
竈門炭治郎
善良な鬼と悪い鬼の区別もつかないのなら、柱など辞めてしまえ!!
竈門くんが、大事そうに箱の紐を握りしめながら不死川さんに向かって言う。
頭突きを食らわされた当の不死川さんは、鼻血を拭いながら顔を上げる。
そのこめかみには、血管がくっきりと浮き出ている。
不死川実弥
テメェ、ぶち殺してやるゥ!!
不死川さんがそう言って、日輪刀を持ち直し、立ち上がった時。
女性
お館様の、お成りです。
少女のそう言う声がして、私達はハッと御屋敷の方に顔を向けた。
こんにちは。作者の「藤」です。
久しぶりのあとがきです!!
そんなに大したことは書きませんが……(笑)。
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