<胡蝶side>
鬼殺隊本部。
そこに、鬼殺隊最強の称号を与えられた9人の柱が集まっていた。
私達の目の前には、傷だらけで羽織を脱がされた気を失っている竈門炭治郎くんが。
その横では、隠の……確か、後藤という名の人が竈門くんを起こそうと声をかけている。
私達柱の前だというのに、なかなか竈門くんが起きないことに腹を立てた隠の人の言葉が段々と汚くなる。
そして遂には、目を逆三角形に吊り上げ、腕を振り上げて怒鳴った。
その言葉でやっと目を覚ましたのか、竈門くんがハッと私達を見る。
隠の人のその言葉に混乱しているように、竈門くんが驚いた顔のまま眉を寄せる。
入隊したばかりだと聞いているから、きっと柱の存在も知らなかったのだろう。
宇髄さんがそう言うと、竈門くんは少し反応する。
甘露寺さんが、何かを思ったように口元に手を当てた。
煉獄さんは、誰かと喋っているのだろうか。
自分で言った言葉に、自分で納得している。
私が言うと、竈門くんは呆気にとられたようにしばらく呆然としていた。
だが、ふと、竈門くんが辺りをキョロキョロと見渡す。
妹だと言っていた鬼の少女を探しているのだろう。
元気に言ったのは、煉獄さんだ。
悲鳴嶼さんが数珠をジャラジャラと鳴らしながら涙を流す。
その間も、時透くんはずっと空を見上げている。
ふと、木の上から声がした。
伊黒さんが、ネチネチと遠くにひとりぼっちでいる冨岡さんを責めているのだ。
まあ、言われた冨岡さんは顔色ひとつ変えていないが。
私が言うと、竈門くんはハッとしたような顔をした。
だが、竈門くんが何かを言う前に、宇髄さんが背中の日輪刀の柄に手をかける。
竈門くんはそこまで言って、激しく咳き込んでしまう。
顎を痛めているから、当然だろう。
私が言いながら竈門くんに近寄って、水の入った瓢箪を差し出すと、竈門くんは一瞬だけ迷うように私を見た。
だが、私がそれに笑みを返すと、竈門くんは勢いよく瓢箪の口に噛み付く。
しばらく飲み続けて、竈門くんは瓢箪から口を離した。
そして、一息ついた後、竈門くんはゆっくりと話し始めた。
竈門くんのその言葉に反応するように、伊黒さんが言った。
話を聞いてくれないみんなを見て、竈門くんは慌てたように口を開く。
その言葉に同意するように、竈門くんを斬首するべきと思っている人達が頷く。
そんな中、甘露寺さんの高く澄んだ声が響いた。
甘露寺さんが恐る恐る言った言葉に、死刑に同意していたみんなが黙り込む。
それに畳み掛けるように、甘露寺さんが言葉を続けた。
その、みんなが黙り込んだ隙を見て、竈門くんが叫ぶようにして言った。
その言葉に、その声に、私達は目を見開く。
竈門くんがうそをいっているようには見えなかった。
竈門くんの言葉を遮るようにして言葉を発したのは、片手に箱を持った不死川さんだった。
あの箱は、竈門くんの妹さんが入った箱だ。
思わず、棘のある声が出た。
だが、不死川さんはそんな私に構う素振りも見せず、竈門くんに向き直った。
そう言って、不死川さんは素早く日輪刀を抜き、箱に突き刺した。
中からくぐもった呻き声が聞こえ、箱からポタポタと赤い液体が滴る。
それを見て、竈門くんが目を見開いた。
そしてそう叫び、不死川さんの方へと走っていく。
遠くにいるとはいえ、一部始終を見ていた冨岡さんが2人を止めようと口を挟む。
その言葉に、不死川さんの動きが一瞬止まった。
その隙を見逃さず、竈門くんが不死川さんに思い切り頭突きを食らわせた。
ゴッと鈍い音がして、2人共地面に倒れ込む。
みんなが、それを見て目を見開いた。
もちろん、私も。
ポツリ、と伊黒さんが呟いたのが聞こえた。
竈門くんが、大事そうに箱の紐を握りしめながら不死川さんに向かって言う。
頭突きを食らわされた当の不死川さんは、鼻血を拭いながら顔を上げる。
そのこめかみには、血管がくっきりと浮き出ている。
不死川さんがそう言って、日輪刀を持ち直し、立ち上がった時。
少女のそう言う声がして、私達はハッと御屋敷の方に顔を向けた。
こんにちは。作者の「藤」です。
久しぶりのあとがきです!!
そんなに大したことは書きませんが……(笑)。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!