第11話

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2020/07/05 00:33








長尾「終わったー!」






道枝「あなたちゃん一緒に帰りません?」






「あー、…ごめん!今日用事あって」






長尾「みっちー、俺が一緒に帰ってもええでっ」






道枝「なんでそんな上からやねん」






「じゃあ先帰るね、お疲れ様っ」








そう言って、逃げるように楽屋を出た。








西畑「あなたっ、待って」






「大ちゃん?どうしたの?」








そんな私を追いかけてきた大ちゃん。








西畑「あなた、なんかあった?」






「え、…なんで?なにもないけど、」






西畑「元気ないような気したから」








大ちゃんは昔からなんでもお見通しだ。








西畑「なんかあったらいつでも言いや」








だから、私の嘘にもきっと気づいてるけど。








気づいてないふりをして優しい言葉をかけてくれる。








そんな大ちゃんに私は何度も救われてきた。








「うん、ありがとう」






西畑「気をつけて帰るんやで」






「わかった」






西畑「アメちゃん渡されてもついてったらあかんで」






「それ、はたちの人に言うセリフ?」






西畑「まあとにかく気いつけてな」






「はいはい、おにーちゃん」






西畑「誰がお兄ちゃんや笑」








心配性の大ちゃんはいつも私の姿が


見えなくなるまで見届けてくれていた。








それは、今でも変わらなくて。








角を曲がるところで振り返ると、


やっと楽屋に戻っていく姿が見えた。








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