1限目の時間を使って図書館で勉強しようとすると、つけて来たのかなんなのかガバッと後ろから来る髙地
あごめん…と冷静を取り戻した髙地は、らしくなく焦った顔をしていてそのまま私の座る向かい側に座った
距離がぜろになることはあったとして、別にやらしいことはされてないから事実。
そう一つ一つ髙地の質問に答えてれば、髙地は安心したようにぐったりと机に伏せてよかったーと零した。
髙地に言われて良くなかったろくでもない私の恋愛を思い出した。髙地はいつも私の恋愛事情を気にしてくれてて、ばっさり終わらなかった問題を終わらせて。
私も鈍感じゃないから気があるんじゃないかと期待することもあったけど、私は髙地の恋愛も聞かされてるからまあそれはないと。一途に引くこともあるが。
髙地の目が丸くなった。何が大丈夫なんだ、って心配でもするように。それはそう、あの田中樹だから。
けどさりげない見返りを求めない優しさ、心を覗くような探る目、見えた過去の孤独心。
何かを知ってるような言い方だなと、思った。昨日の電話でも田中の返答は結構親しそうな感じだった。
聞けば彼が求めたあの声の正体もわかるんじゃないか、そう思ったけど上手く踏み出す勇気はなくて。
意を決して髙地の名前を呼んでこちらに顔を覗かせて来て言葉を発しようとすると、すっと誰かの手が割り込んできた。
多分本人たちは冗談のつもりだろうけど、髙地の目が本気になってきたから慌てて止めるように立ち上がる
ふと田中と目が合って、また何か探られそう、だった
あーんしてくんねぇの、?、なんてあまりにも恋人に出すぎた真似だったから速攻断った。
じゃあしてくれるまで頑張るわ、なんていう田中に髙地がまた何か言い返してラリーが始まったんだけど、
なんというか、どこか私と彼の間に壁ができていたのは気のせいだったのか、気のせいじゃないのか。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。