ジェルside
目が覚めたら病院にいた
ボーっとしていたら三人、俺より少し小さい人たちが入ってきて
でも、誰か分からない…
俺がそうつぶやくと、一番上の人以外は泣き始めた
泣きながら、名前を教えてくれる
俺たちは兄弟らしくって、上からななもりさん、さとみさん、ころんさん、莉犬さん、るぅとさんらしい。
そのあと、ななもりさんが慌ててきてくれて、それから泣きながら謝って来た
でも、なんで謝られているのかも、わからない
申し訳ないけど、何もわからない…
だから、すごく不安
なんで、ななもりさんは謝って来るの…?
なんでさとみさんたちは泣いているの…?
何もわからない…
俺が戸惑っていると、男の子がちらっと病室を覗いていた
さとみさんが声をかけたら逃げて行ってしまって
どうしたらいいのか、さっぱりわからない…
数分後、面会時間が終わってみんなは帰って行った
俺からしたら初対面だけど、みんなを不安にさせてはいけないって思って何とかためで頑張ったけど。
俺にとって大事な人だったんだろうか
彼らにあった瞬間、なんだかあったかい気分にもなったけどそれと同時に苦い思いもして
兄弟のはずなのに…
ずっと一緒だったはずなのに…
なんで、彼らと会うのに、話すのに…無理をしてしまうんだろう…
ボーっとしていた俺をみてお医者さんが声をかけてくれた
色々診察とかしてくれて、そのあと違う病室に行ってしまった
そして夜になって消灯時間になり部屋の電気が消される
寝れなくって、ぼーっと考え込む
ふと、手首にまかれている包帯に気が付く
あれ、俺、手なんか怪我してなかったよね
右手はひかれたときに強く打ったとは聞いていたけど
左手はなんでだろう…
包帯をちらりとめくる
ゆっくりゆっくり外していくと、腕に切り傷があった
俺、リスカしてたのかな
なんでしてたんだろう…
なんか、痛かった思い出がある
毎日毎日、嫌だった…
何されていたんだっけ
体を見ると事故では怪我をしないようなところに、包帯とかついてる
軽く押すと痛みが走る
この痛みは痣…?
頭の中に記憶の欠片が流れてくる
痛くて、嫌な記憶
体も心もボロボロで
しんどかった記憶
酷い頭痛がする…
それと同時に涙も出てきて
無意識のうちに、小さな声で呟く
そして、そのまま俺は眠りについた
次の日
朝4時すぎに目が覚める
昨日寝たの1時とかだったはずなのに
朝、目が冴えてしまう
まだ病院は寝ている人が多いから窓の外を見てぼーっとする
お医者さんが来て話しかけてくれたけど、会話が途切れるとまた俺はぼーっとする
昨日の夜のはなんだったんだろう
なにか自分で呟いた記憶があるけどなんだったかももう忘れちゃった…
その後朝日が昇って朝食の時間になる
ご飯に野菜、味噌汁…朝から健康な食事
美味しそうだな…って思って箸を伸ばす
けど、二口くらい食べて箸をそっと戻してしまった
作ってくれた人には申し訳ないけど
残そ…
でもお腹空かないのは昼でも、夜になっても同じで
お昼の方が朝より多くは食べれたけどでも何口か食べただけでお腹がいっぱいになってしまったし
夜だってお茶碗1杯くらいで食べれなくなった
面会に来てくれてたさとみくんやなーくんにも、お医者さんにももっと食べろって言われて心配されたけど…
ほんとに食べれない
自分のことが分からないから他人事のように言うけど…
変に朝早く起きるのも
夜寝れないのも
ご飯を食べれないのも
身体中のアザも…
絶対おかしい
過去の俺は何があったんだろう…
知りたいような気もするけど
思い出そうとすると頭が痛くなって
心に蓋がかかって…
結局思い出せない
いや、違う…











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。