ヒョンの笑みは、確かに俺だけに向けられていた。
それなのに、胸の奥は満たされるどころかざわめき続ける。
もっと、もっと深く欲しい。
俺だけを見て、俺だけにすがって、俺なしでは息もできないほどに
問いかけに、ジウンは頷いた。
でもその頷きは、どこか弱々しく、諦めに近かった。
胸が痛んだ。
それは欲しかった答えのはずなのに、なぜか違う。
俺の病は彼を縛ったけれど、同時に彼の心まで壊してしまった。
ジウンの目は俺を見ているようで、もう遠くを見ていた。
その一言が、刃のように突き刺さる。
俺は抱きしめた。
強く、強く、もう逃げられないように。
でも腕の中の温もりは次第に冷たくなっていく。
勝ったはずなのに、何も残らなかった。
病は相手を縛りつけると同時に、自分自身も蝕んでいた。
目を開けると、そこは暗い寮の自室。
聞こえるのは時計の針の音だけ。
夢だった。
震える手を顔にあてると、そこにはまだ涙の跡が残っていた。
心臓は早鐘を打ち、ヒョンの名前を呼んだ喉は焼けるように痛い。
夢の中で何度も確かめた温度も、声も、全て幻。
あれは、ただのぼくの願いが作り出した夢だった。
そう呟いて目を閉じたけど、二度とあの続きを見ることはなかった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。