第4話

FUMA・YUMA
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2026/01/08 12:56 更新
過呼吸・発熱

暗闇に1人取り残される。
声が出なくて、足が床に張り付いたま動かない。
誰もいないのに聞こえてくる、自分を罵倒する声。

なにこれ…

「…っ、」

目が覚めたのはいつものベッドだった。
息苦しい。
でも、疲れているYUMAを起こしたくなくてそっと部屋から出た。


吸っても吸っても苦しくて、
思わず廊下にへたり込んだ。

「あなた、ゆっくり、息しよっか」

低くて落ち着いた声と背中を摩る温もりで
少しずつ、息ができるようになっていく。

「…ふうまくん、ごめん、疲れてるのに」

絶えず溢れてくるあなたの涙をそっと拭いながらFUMAは優しく微笑む。

「謝らなくていいから。怖かったでしょ。
今日は俺の部屋おいで。」

まるで迷子の子供のような
不安と恐怖に支配された顔にFUMAの心が痛んだ。
迷惑をかけまい、と一人で苦しんでいたと思うと放っておくことは出来なかった。

「今日はここで寝な。俺いるから。」

ベッドは同じサイズのはずなのに、自分のベッドよりも大きく感じて安心した。

「でも、ふうまくんは、」
「大丈夫だから。今、あなたは寝るのが仕事。」

小さく笑いながら優しく手を握ってくる温もりは全てを包み込むように大きくて安心した。

その温もりでやっとあなたは深い眠りに落ちた。


目が覚めるといつもと違う景色。

あ、昨日ふうまくんが…

「あなた、起きた?」
「うん、昨日ごめんね、ありがとう…」
「ほら、謝らない。今日もしんどかったら無理しなくていいから。」
「大丈夫。いける。」

大丈夫。

そう言い聞かせた。
そうすれば、不安を見て見ぬふりができた。

ただ、あなた本人がそうしていても、周りは見逃さなかった。

「ふうまくん、なんかあなたおかしくないですか?」
「あー昨日の夜さ…」
「え、俺なんで気づかなかったんや…」

悔しさが滲んだYUMAの声に思わず苦笑した。

「起こしたくなくてわざわざ出たんだと思う。
廊下でしゃがみこんでたのはさすがにびっくりしたけど。」
「今日は俺、ちゃんと目離さないようにします」
「あんまり変に心配しすぎるなよ。笑
あなた逆に気遣って無理しそう」
「でも、心配じゃないですか…」

そんな会話が人知れず繰り広げられていた。



なんとなく身体が重い気がした。

それでも自分を奮い立たせて、カメラの前に出ればいつもの自分を演じられた。

いつもより長い一日を終えて部屋に戻る。
身体が重くて、ベッドに潜り込んだ。
やけに静かな部屋が少し怖かった。

迷惑をかけるのは嫌なのに、
早くゆうまに来て欲しい。
そう思ってしまう。


まただ。

昨日と同じ。
逃げ道がなくて、ただ苦しくて仕方ない。

呼吸の仕方が分からない。

手足が震えて思うように動かなかった。

「あなた、聞こえるか?」

これ、ゆうまの声だ。

「急がなくていい、ゆっくり。」

優しく背中を摩るYUMAの体温で少し、苦しさが和らいだ。

「ごめんなさい、ごめんなさい」

まだ浅いままの呼吸で謝り続けるあなたになんとも言えない気持ちになった。

「大丈夫。大丈夫だから。謝らんで。」

小さく震える身体をそっと包み込むと、
自分よりもずっと小さくて、冷たくて、
今にも消えてしまいそうで、
少しだけ、その腕に力を入れた。

YUMAの声と体温は
優しくて、柔らかくて、甘えちゃダメなのに。
つい、甘えてしまいそうになる。

「独りで我慢するくらいなら思いっきり甘えていい。だから、ひとりで壊れてくのはやめろ。」

YUMAの声は少し震えていた。

「いいの、?」
「当たり前やろ」
「迷惑かけるよ?」
「俺に遠慮する必要ないやろ。」

「…じゃあ甘えてもいい、?」
「おう」

さっきまで流れていたはずなのにまた、涙が溢れて止まらなかった。

「怖かった、息できなくて、ひとりで、」
「…もう、大丈夫や。」

そのままYUMAの温もりに身を任せた。

「まじでこのまま寝るのかよ…」


自分の胸の中で小さくなって寝息を立てるあなたを見て思わず笑った。

「お、寝た?」
「ここでぐっすりと、」
「てか顔赤くね?」
「完全に熱あります…」
「明日せっかくオフなのにちょっと可哀想だな」

FUMAとYUMAの優しさに包まれて深い眠りに落ちていった。

「…ん、…」

鈍い頭の痛みで目が覚める。

隣に寝ているYUMAの顔を見て、昨日のことを思い出す。

甘えても、大丈夫かな、

「…ゆうま、」
「…ん?」
「頭痛い、」
「え?…熱、上がったなこれ」

あなたの額に手を当てると思ったよりも熱かった。

「あ、おはよ。ちょうどよかった。」
「ふうまくん、」
「ん?」
「しんどい…」
「よくできました」

優しく頭を撫でるFUMAは心なしか嬉しそうだった。

「今日は何もしなくていい。休んだら、合格。」

その暖かい一言がじんわりと胸に広がっていく。



ここが私の帰る場所なんだ。

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