オレが入学した学校は、問題大アリだ。つい
最近、高校に入学できたばかりだというのに、
オレの学校で自殺者が発見された。
(なんなんだよ、こんな時に限って…)
もちろん、行きたくないと思うのは、当然のこ
とだが、ひとつだけ不思議なことがある。
それは、
死んだ幽霊の目撃情報が全くないことだ。自殺
したのなら、誰かが幽霊を見たとか、何かおか
しな事が起こったとかあってもおかしくないは
ずだ。まぁ、そんなこともあってか、毎日普通
に学校生活を送っている。
それに、幽霊なんて信じてないし…
こいつは幼なじみ。ノリがよくて面白い。昔か
ら1回も離れたことはない。
(はぁ、まじで腹いてぇ……)
ドンドンドンドン
誰もいないはずなのにノックの音が聞こえる。
ドンドンドンドンドンドン
どんどん回数も増えていく。
(なんでここなんだよ、他にもいっぱいあるじゃ
ねぇかよ)
ドンドンドンドンドンドンドンドン
すると、急に音が止む。
それと同時に、おれの大も終わった。
あぁ、確かにそうかもしれない。このトイレの
ドアは、開けるたびにギィギィ音がする。で
も、その音は聞こえなかった…
でも、これが後々オレの人生を変えていくと
は…。
その時は知るはずもなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!