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第36話

甘い.jin
1,127
2018/03/23 09:14
《あなたside》



『ねえじんくん、』



ポッキーをくわえながら
パソコンに向かっているじんくんを呼ぶ。



何~?と、じんくんは空返事。



何も言わないでいると
ポッキーをサクッと噛んでこちらを見た。



『私も食べたい、』



ポッキーを指差しながら言うと
じんくんは箱に手を伸ばす。



あ、くれるんだ、と思って待っていたら、



じ「ん、」



またポッキーをくわえて目を合わせてきた。



『いやだから、ちょうだい?』

じ「うん、早く」



ポッキーをくわえているにも関わらず
器用に喋るじんくん。



意味が分からず見つめていると



じ「ここ、」



ポッキーの端っこを指差して
くわえて、と言ってきた。



『…は?』

じ「ポッキーゲーム」



その言葉を聞いて
急に顔の温度が上昇するのがわかる。



『リア充かよっ、』

じ「俺らリア充でしょ?ほら、」



早く早く、と急かされて
仕方なくポッキーの端をくわえた。



そのすぐ後にじんくんが1cmほどを食べ進める。



じ「あなたも早く」



顔が至近距離にあって目が見れないが
恐る恐るポッキーを噛んだ。



そしてまたじんくんが噛み進める。



それを交互に繰り返して、もうその距離は約1cm。



じ「次あなたでしょ、」



もう吐息が感じられる距離。



私から唇を重ねる、ということだ。



普段は馬鹿なのにこういう時は頭を使ってくる。



本当にずる賢い。



サクッ、と最後の1cmを口の中に含む。



必然的にじんくんの唇を
私の唇が食べているような形になってしまった。



が、その形はすぐに変えられ



逆転する。



さっきより少し激しく口付けをされた。



まだほんのり残るチョコレートの味。



じ「…ふふ、甘いね、」



こういう時に限って甘い声を出すのは反則すぎる。



また今日もじんくんに、



____堕ちていく。

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