第20話

その頃島崎は……
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2021/03/24 12:50 更新
芥川は潜書している時、図書館のある一室で黙々と裁縫をしている徳田秋声を横で見ている島崎藤村がいた。「‥島崎、気が散るんだけど」ため息をこぼしてチロッと島崎の方を見ると「僕の事は空気だと思ってていいから、秋声はそれの続きを続けたら?」島崎は、徳田の気持ちを分かっていないのか、こんなことを言うとまた、徳田はため息をこぼした。「島崎‥お願いだから、これは太宰君から頼まれた物だから‥」といったら、「わかった」といい残し部屋から出ていった。トコトコと歩いていると北原白秋に出会った。北原は小走りで島崎の方に行くと、「島崎さん貴方にお会いできるなんて…」うれしそうに目を輝かせて言った。北原はこの図書館に来てまだ1週間しかたっておらず、まだ島崎に会えていなかったのだった。そして、生前北原は島崎の詩を好んで読んでいた。だから島崎に会えとても嬉しかったのだろう。「君は…北原…白秋だっけ?確か…詩人だったよね?」頭を横にこくっと傾け思い出すように言うと「はい、詩や童謡など色々書いていました…!僕は貴方の詩がとても好きでして…」少し照れながら言うと「僕の詩を……?」キョトンとしていると「はい!貴方の詩は素晴らし物です!島崎さんまた詩を書きませんか?」希望に満ちた顔で話すと「詩は書けないよ…僕は作家としてここに転生してしまったから、詩人としての魂は無いんだ…」無表情で淡々と話す島崎に対して北原は動揺を隠せなかった。大好きな詩人が目の前に居るのに、その人は詩を書けないといったからだ。ショックを受ける北原に「またね、北原次合った時には色々取材させてね」と言って去ってしまった。

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