11月9日
氷室は知り合いに頼み込んで
遺体安置所に案内してもらっていた
「数分だけだよ
本当は遺族の了承が必要なんだから」
「迷惑かけてごめん、すぐ済むから」
無機質な安置所の一室には
顔覆いをされた人が仰向けの状態で居る
夢であって欲しいと一縷の望みをかけて
布を外すが、そこに居たのはやはり
顔に火傷を被った萩原研二だった
「研二…さん…」
呼びかけに反応せず、冷たい彼の顔に触れて
現実を突き付けられた
2日前まで温もりをまとい生きていた彼は
一瞬にして温度が消えたあの世の人に
なってしまったのだ
声を押し殺して涙を流す
喉が過呼吸の音をたてながら
これから先、二度と感じることのできない
彼の手にすがりつく
「氷室、ちょっと休みなよ。顔色悪いよ」
同期の彼女からの忠告で自分の顔を見ると、
目に精気がなく、青白い顔をしている
まるで幽霊のようだ
「大丈夫、何かしといた方が気が紛れるから」
少しふらつきながら答えると
誰かにガシッと肩を掴まれた
身体が跳ねて後ろを振り向くと
そこには萩原の同期であり友人の松田陣平が
鋭い目つきで、逃がすまいと氷室の肩を掴んでいる
「松田さん…」
「ちょっとツラ貸せ」
そう言って彼は氷室を空き部屋へと連れて行く
「爆弾犯の一人は死亡、もう一人は逃走中だ」
ブラインドの隙間から光が差す
薄暗い部屋で松田は呟く
「そうですか」
「ハギと約束したんだよ
『仇を取る』ってな」
氷室が顔を上げて松田を見ると真剣な表情をしていた
「仇は必ず俺が取る
だから絶対に生きろよ
お前が死んだら俺がハギにどやされる」
堪えていた涙が再び頬を伝う
氷室は何度も頷き、彼の言葉を信じた
そしてその言葉から4年後…
更新遅くなりすみません!
しばらく重い話になるかも…
でもすぐにあのコナンが出るから大丈夫!!
後る・・・先立たれる











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。