そして、キャンプファイヤーが始まり。
色んな出し物やミニゲームが行われたり。
とにかくめちゃめちゃ楽しかった。
これはきっと、忘れない思い出になるんだと、
自分でも分かった。
と、うちのクラスの実行委員が、
二年生全員に向けそう言う。
…いや、ね?
確かに、猫塚になればいいなとか、
思ってなかったわけじゃないんだ。
で、その場合他の奴でも良いんだよ?
でも、でもね?
なんで、よりによって犬井…
てかこっち来るな。
その笑顔を向けんなっつーの!
口をとんがらせて、ふてくされたように言うけれど。
少し、アイツと似てるという言葉に、
動揺してしまった。
動揺…というより、嬉しい…だけど。
まぁ、犬井は意識せず言ったかもしれないけれど、
皆には優しいって、意外にも少し嬉しかった。
あぁ、胸がズキズキする。
これは、さっきのチクっとした感じじゃない。
つまり、
嫉妬。
最低だなぁ、私って。
ほんっと、ひかりレベルに勘が良いな…
まぁコイツの場合、勘っていう言い方より、
直感に近いんだろうけど。
犬か。
笑顔が眩しいわ。
てか、後ろに尻尾が見える…
と、仕方なく、私は犬井と。
犬井と手を繋いだりするときとかは、
少し眉間にシワが寄ってしまった。
…あと、余所見。
だって、仕方ないじゃん。
気になるんだよ。
硝野さんと、アイツが、楽しそうに話してて。
私は猫塚のただのクラスメイトなのに。
でも、だから、そのために、
告白するんだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!