第21話

兄弟
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2024/04/29 13:17











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瀬戸あさひ
..........?



瀬戸は、気づいたら一面花畑が広がる場所にいた。瀬戸は知っている。ここは幼い頃なつぴょんとよく一緒に遊んでいた花畑だ。


瀬戸は、何かにつられるように花畑を歩いた。




暫く歩いていると、懐かしい姿と泣き声が聞こえる。




なつぴょん(幼少期)
っうぅ...ぇ
なつぴょん(幼少期)
うぅ....っ....
瀬戸あさひ
なつぴょん......
なつぴょん(幼少期)
っ.....
瀬戸あさひ(幼少期)
なつぴょん!
瀬戸あさひ
!!
なつぴょん(幼少期)
せと.....
瀬戸あさひ(幼少期)
やっぱここにいた
瀬戸あさひ(幼少期)
また家抜け出してきたのか?
なつぴょん(幼少期)
.......コクリ
なつぴょん(幼少期)
うぅ...
瀬戸あさひ(幼少期)
.........
瀬戸あさひ(幼少期)
もう泣くな!
なつぴょん(幼少期)
ぇ、だ、だって....
瀬戸あさひ(幼少期)
だってじゃない!
瀬戸あさひ(幼少期)
お前が泣いてるの見ると、後悔するんだよ
瀬戸あさひ(幼少期)
おれがもっと何かしてやれたらって
瀬戸あさひ(幼少期)
だから、泣くなよっ!





なつぴょん
って、瀬戸は言ってくれたよね
瀬戸あさひ
!!
瀬戸あさひ
なつ、ぴょん?
なつぴょん
俺は家族からピアノの才能が認められなかった
なつぴょん
瀬戸は異能の家系に生まれたのに異能を持ってなかった
なつぴょん
瀬戸はそんな家系でも夢を見た




瀬戸あさひ(幼少期)
対の生物同士でも、仲良くなれたらなぁ




なつぴょん
でもその夢は所詮夢だった
なつぴょん
そんなものは不可能だっていう「現実」を知ったんだっけ?











なつぴょん
でも、ちょっと希望を望んだよね
なつぴょん
だって俺ら両親に騙されてたんだから
なつぴょん
僕らの家系は、11年に一度、異能を持つ者が生贄にされる決まりがあった
なつぴょん
その生贄に、僕らは選ばれるはずだった
なつぴょん
でも僕のお母さんは僕を無能にして
なつぴょん
瀬戸のお父さんは瀬戸を異能持ちじゃないと嘘をついて
なつぴょん
俺ら2人が逃げ出したくなるような弱い言い訳をつくった
なつぴょん
でもその言い訳で僕らは逃げ出して、両親が贄になった


















なつぴょん
僕たち兄弟だったんだよ













なつぴょん
僕たちって、幸せなのかな?
なつぴょん
ズズさんが言ってた
なつぴょん
「僕たちの家族はいるか?」
なつぴょん
って
なつぴょん
それって、天国にいるかってことでしょ?
なつぴょん
辛かった
なつぴょん
あの時、本当は泣きたかった
なつぴょん
頭痛のせいで過去を思い出して
なつぴょん
でも無理だよ
なつぴょん
僕らが世界を変えなきゃ、皆幸せになれない
なつぴょん
ズズさんやねろちゃんを救えない












なつぴょん
ねぇ瀬戸
なつぴょん
俺の我儘聞いてくれる?
なつぴょん
皆を救いたい
なつぴょん
死んだっていい
なつぴょん
生きれたらそれでいい
なつぴょん
そう約束したからっ!




なつぴょんの目から涙が溢れる。あぁ、やっぱり俺の弟は泣き虫だ。



瀬戸はなつぴょんを抱きしめた。


瀬戸あさひ
泣くな
瀬戸あさひ
俺が、無能に見えるだろっ
瀬戸あさひ
絶対助けるって言ったんだから、
瀬戸あさひ
大人しく助けられろ!
なつぴょん
............












なつぴょん
うんっ!









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次に目を覚ますと、そこには、気を失ったなつぴょんと、心配したりどこかを見ている皆と、


















どこかおかしいズズがニコリと笑っていた。














ズズ
アト一人

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