『、へ』
思ってもみない質問だった。
「出来損ないの基準。俺はさ、みんなそれぞれ出来損ないだと思ってるんだよね。完璧な人とかいないじゃん。」
綺麗事じゃないか。と思った。
でも、確かにそうかもしれない。とも思った。
『出来損ないでいいのかな』
「みんなそうだよ。みんな、俺も、あなたの名字も、みーんな出来損ないだから。大丈夫。」
にこにことその美しい顔で微笑んで、こちらを見る。
なぜかその言葉が心に染みて、視界がぼやけた。
「え、ちょっ、なんで泣いてんの…俺なんかした!?」
テンパる彼の胸を少しだけ拝借して、泣き顔を隠した。
どうしてこんなに彼に心を許しているのか、わからないまま。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!