「懐かしい。」
深夜1人でこんな寒い中ベランダに出て酒を飲んでいるのは俺くらいだろう。
確か、彼女ともこんな会話をしたんだったっけ。
そうサラッと言うと顔をを赤くした。
またあの時のように君と笑い合えたらいいのに。
でも俺から振ったんだ。
「他に好きな人が出来たんだ」
なんて嘘の理由を伝えた。
自分の気持ちを素直に伝えるのが苦手だからってこんな変な理由を考えて彼女を傷つかせてしまったんだ。
彼女はあの時泣いていたんだっけ。
いや、お互い涙目のくせに素直になれていなかった。
本当は別れたくなんか無かった。
でも何故かあの時、1度彼女の事が嫌いなったような気がした。
俺が嫉妬するから他の男がいる遊びには行かないでくれと頼んでも何か理不尽の理由をつけて反抗するところとか、構ってくれないところ。
でも素直にその気持ちを伝えれなかった。
そして結局「他に好きな人が出来た」が咄嗟にでてきた言葉だった。
今こんなにも引き攣っているのはもしかすればあの時俺が別れ話をすると引きとめてくれてもう俺が嫉妬や独占欲を掻き立てるようなことはしなくなる。そんな馬鹿なことを思いついたからなんだろうか。
それか、もっと自分のことを大事に思ってほしかったからなんだろうか。
それでもやり方を間違っていると自分でも後悔している。
俺だけなのかな、こんなに引き攣っているのは……。
でもどうせまた彼女と出会ったところで俺はまた素直に気持ちを伝えれず彼女を傷つかせてしまうだけ。
そんな俺が彼女と話す資格はない。
そんなことを思いながら過ごしていたその日だった。
幼なじみのやまとから、高校の時の友達で集まるから来ないかという誘いだった。
そう言われて俺は一番に彼女が頭によぎった。
やまとはあなたと仲が良かったから勿論その誘いには誘われてるだろうな。
やまともそんな誘いに俺が断れないとわかっていて誘うところに正直腹が立った。
でも彼女ともう一度会えるなら。
そんな思いで返事をした。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!