第8話

離れたくない、そんなのわかっている。
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2024/05/13 04:00 更新



俺達は言葉の意味が全く理解できなかった。



「思い出せない」?



この瞬間、俺達の頭の中では多くの思考が飛び交う。



一歩思わず後ずさると、ふっかさんは気づいたようで見たことのない表情をした。





佐久間大介
康二...!
向井康二
...ご、ごめ...

深澤辰哉
よかった...そうだよね、君が康二だよね


向井康二
え...?
佐久間大介
ふっか...



傷ついた顔



悲しげな顔



諦めた顔




俺はその時になってやっと、行動一つ一つで彼を傷つけていたのだと知った。





深澤辰哉
俺ね...若年性認知症なの
深澤辰哉
アルツハイマーって言ったほうが伝わるかな



ドラマで聞いたことのある単語。



それをふっかさんの口から聞いた瞬間、現実なのだと思い知る。



辛いのは当人のはずなのに、受け入れられない。





深澤辰哉
最初はね、ただの物忘れだって思った。でもだんだん振りも思い出せなくなって、ご飯食べたことも忘れちゃうし...ひかるとのデートも...約束したことさえ忘れて...っ
深澤辰哉
俺の頭ってばおかしいんだよ...!
深澤辰哉
気付かれたくないから、忘れたことを嘘ついて隠して、照には「なんで嘘ついたの」って...。でもね、俺ってば嘘ついたことも忘れちゃってるの
深澤辰哉
嘘に嘘を重ねて、多分ひかるは俺のこと嘘つきって思ってる



はぁはぁ、と息をゆっくり吐きながらふっかさんは膝から崩れ落ちた。


深澤辰哉
ごめんね...ほんとごめん!
俺、みんなと何年も一緒なのに名前が出てこないんだっ



佐久間大介
深澤...
向井康二
...グスッ...ふっかさん...っ


ガンガンという音とともに彼の頭から血が流れ出ていた。



その光景に我に帰った俺達は必死に彼を止める。



彼とは一生無縁だと思っていた自傷行為、



それと絶望した顔。











深澤辰哉
みんなのこと、忘れちゃうんだよ...






俺もさっくんもその言葉に、何も言うことができなかった。





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