第2話

あの日、復讐の焔は灯った
622
2023/06/08 09:05
鬼舞辻無惨
鬼舞辻無惨
……試験的に、多めに血を与えた鬼を作るか
古明地さとり
上弦の鬼になりうる人間が?
古明地こいし
そんなの、滅多にいないのに?見つけたのですか?
鬼舞辻無惨
鬼舞辻無惨
…目星はついている、あの山奥の一家だ。古明地妹が発見した……竈門家。あれから一人、鬼を作り出す
古明地こいし
あー、そういえば報告しましたねー。確か、巨大な熊を斧で切り伏せた超人がいる家だって
古明地さとり
まぁ…私たちが何かすることも無いでしょう?血生臭いのは好きじゃないし、私とこいしは別のところへ行くわ
鬼舞辻無惨
鬼舞辻無惨
好きに動け
さとりside
古明地こいし
誰にも気づかれないって、便利だねー!
横で騒いでも、先程のように不穏な会話を堂々としていても、誰一人そのことに気づかない。無意識に干渉できるこいし…私の大切な妹は、今日も笑顔を絶やさず散歩をしていた。私も、姉としてそれに同行する。
古明地さとり
にしても、始祖様が近くにいたとはね…びっくりしたわ
始祖様…鬼の始祖にして首魁、鬼舞辻無惨のことだ。
たまたまではあるが、鬼にする人間を探していた始祖様と合流した私たちは、他愛もない雑談を少しの間交わしたのちに、それぞれの目的のために別れて行動する。
古明地さとり
今日は…あの耳飾りの青年を探すのでしょう?
古明地こいし
そう、あの忌まわしき耳飾りがどうして今も存在してるのか……確認しなきゃね
古明地さとり
疑問よね〜…私たちは江戸の世ではずっと眠ってたわけだし、その間何があったとか、ある程度読心して確認はとれてるけど…
私たちが再度行動を始める前の最後の記憶…それは、戦乱の世のもの。始祖様の記憶などから、十二鬼月の創設、江戸、明治、大正と、移り変わる世の中、今代の柱の厄介さは理解した。
古明地さとり
何で、あの日輪男はいないのに…日の呼吸も滅されてるはずだから、あの耳飾りが残ってるのは謎ね…
古明地こいし
まぁ、お姉ちゃんが読めばわかるよ
古明地さとり
確かに、深く考えることではないわね
私たちは日輪の耳飾りをつけた青年を探しに、竈門家のある山の下町に降り立った。
炭治郎side
竈門炭治郎
竈門炭治郎
なんだか…嫌な予感がする日だ
町からの帰り、俺は嫌な何かを感じ取っていた。
古明地こいし
あの人じゃない?額に傷のある、あの子!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
何かが近くにいるんだ…匂いはするのに、姿も声もない
とりあえずその気配は気にせずに、俺は家へ戻った。
……そこに待っていたのは、残酷な現実だった。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
……なんで、みんな…
家族は、禰󠄀豆子を残して惨殺されていた。そして禰󠄀豆子も、鬼となっていた。この日から、俺は鬼殺への道を歩み始める。人の美しい日常を理不尽に奪う鬼共を、俺は許さない。
さとりside
古明地さとり
まさか、あの青年が竈門家の長男だったとはね。長女を鬼にしたみたいだけど…放っておくのね
古明地こいし
でもさー、炭治郎だっけ?その長男を襲ってないんだよね。気になるし、後からやって来た水柱も放置してたし。思念会話してみる?
こいしに竈門禰󠄀豆子への干渉を任せて、私は竈門炭治郎の記憶を読む。
耳飾りは、代々伝わってる代物、ね……ヒノカミ神楽、か。扱うのは剣ではないけど…日の呼吸に酷似してる。でも、始祖様と黒死牟が日の呼吸を失伝させたはず。これは……危険かもしれない。
古明地こいし
…!?お姉ちゃん、禰󠄀豆子に話しかけられないよ!?
…ということは、禰󠄀豆子はかなり特殊な鬼になりそうね。私たちが思念を送れないということは、支配から逃れた…いや支配を外したのでしょう。ということは始祖様の悲願……日光の克服にも使えるかもしれない…。
いや…日の呼吸を形だけでも使用し、禰󠄀豆子の兄である炭治郎が鬼になれば…?
古明地さとり
こいし、名案が浮かんだの。炭治郎には成長してもらいましょう、その為にも…禰󠄀豆子は丁重に扱う必要があるわ
古明地こいし
どういうこと?禰󠄀豆子も炭治郎も、危険因子に見えちゃうけど?
古明地さとり
炭治郎が強くなってから、彼を生け捕りにして鬼にするの。そうすれば炭治郎は…たぶん日光を克服する。それこそ私たちのように
古明地こいし
なるほどねー、始祖様の悲願のためってこと!
私たちは炭治郎のもとを離れ、意識を失っている間の出来事の情報収集を再開した。
ルナ
ルナ
さとりとこいしの狙いは……炭治郎の成長!?
ルナ
ルナ
恐ろしい鬼(覚)ですね…!
ルナ
ルナ
それではまた!

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