‹ 猫咲 side ›
応援要請で急いで来てみれば、
大勢の桃の死体の真ん中に
白目を剥いて倒れている同居人の姿があった
頬をつついてもビクともしない
死んだかとも思ったが、心臓は動いている
驚かせやがって ……
帰ったら説教だな
無線で連絡を入れてから、
だらしなく寝ている女を担いで
医療部隊のところへ急いだ
*
治療を受けても尚寝ていたあなたの下の名前を抱えて
家に帰ってきたが、まだ起きる気配がない
まさか、あの技使ったのか?
それなら明日の夜くらいまで起きねぇなこいつ
そう気づいた俺は
油性ペンを手に持った
気持ちよく寝ているあなたの下の名前の顔には
うずまきやヒゲなどの典型的な落書きはない
俺はただ額に2文字書いただけ
まぁ、こいつに恨みはないし
これだけで十分だろ
‹ 保立 side ›
なんでこんなに頭が痛いんだ、
と可能な限り眠りにつく前を思い出す
あぁ、そうだった。戦ってたんだ。
じゃあ、どうやって家まで帰ってきたんだろう。
まーー、あとで猫咲に聞けば済むか、
そう思いながら、顔を洗おうと洗面所に向かう
自分の額には「バカ」という2文字
書いたやつは見当がつく、
てかあいつしかいない。こんなことするのは。
ムカついたまま、自分の顔に
バシャッと水をかける
…… てか、この文字、落ちる気配ないけど
まさか油性?そんなことある?
鏡越しに自分の後ろに立つ猫咲が見えた瞬間
振り向いて腹パンをお見舞いしたのは
言うまでもない。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。