第8話

分岐点
3,350
2024/05/31 12:59
深澤side
深澤辰哉
ホストを…やめる?
宮舘涼太
もうそろそろ潮時だと思ってね
話がある、と言われてバックヤードに連れてこられて舘様から告げられたのは、そろそろ店を辞めたいと言う衝撃の一言だった。
深澤辰哉
なんで?ずっとナンバーワンだったじゃん
宮舘涼太
資金が貯まったんだ
深澤辰哉
資金?
舘様は嬉しそうに目を細めて言った。
宮舘涼太
翔太と、二人の店を開く資金
その時俺は、舘様のいう「潮時」の意味を理解した。
舘様は最初から、モテたいとか、愛されたいとか、そんな自分の私利私欲のためにじゃなくて、ずっとずっと、愛する人との夢を叶えるためにやってたんだ。
あーあ、俺と全然違うんだな。舘様って。
宮舘涼太
来月にはオープンできるように進めてあるんだ、もしできたらふっかも来てね
深澤辰哉
…うん、気が向いたらね笑
宮舘涼太
もう太客にはちゃんと伝えてあるし、全員から理解を得たよ
深澤辰哉
舘様の客って良い客ばっかだからなぁ…もしや厳選してた?
宮舘涼太
こういうことがあっても、納得してくれそうな人を選んでたのは確かだね笑
舘様曰く、もうホストの男メニューに彼の名が載ることはないし、新規客が指名したとしても辞退するそうだ。
残りの2週間程で、ホスト余生を過ごすらしい。
深澤辰哉
もうホストはやらないの?
宮舘涼太
昼職に就くからね…ふっか、いや、タツがこの店に残り続けるなら、たまに遊びに行こうかな?笑
深澤辰哉
いやいいよ、翔太が不安になるだろ笑
それに、舘様はもう満たされたから、幸せな人だから。
ここにはもう相応しくない。
ここに似合うのは、俺みたいな、どこか欠けた薄汚れたやつだから。
深澤辰哉
…寂しくなるな
宮舘涼太
これが最後の別れじゃないんだからさ笑
…どうだろう。
俺が夜職に就き続ける限り、俺は舘様と会わないつもりだ。

もし、ずっとホストをやめられないまま、こんな日々を過ごしていって、それが数年続いたとしたら。
きっと、2度と会わないことになる。
深澤辰哉
まぁ、二人で頑張ってよ笑
深澤辰哉
俺、応援してっからさ
宮舘涼太
ありがとう、翔太にも伝えとくね
舘様がバックヤードの奥に行き、俺は煙草とライターを持って外へ出た。
深澤辰哉
…全然吸ってなかったな
カチ、とライターをつけて火をつけたそれを咥える。
深澤辰哉
…げほっ、ごほ、
調子に乗って煙を吸ったら思いっきり咽せた。
やっぱり相性悪いのかな。
深澤辰哉
煙草吸っても、酒に溺れても、俺は幸せになれないまま。

舘様、いいな。
誰かのために頑張れて、自由な人生で、愛する人と幸せな生活を送れて。
深澤辰哉
照…こねーかな
呟くと同時に息を吐き出して、俺は全く吸えなかった煙草を踏み潰した。
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ーーーあとがきーーー
どうも!とぱです!
今回は闇深めなテイストでお送りしました…💜
次はいわふかのいちゃいちゃをお届けする予定なんだとかそうじゃないんだとか((
とにかく!お楽しみに!!笑

💖、💬、🌟お待ちしてます!では!

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