深澤side
話がある、と言われてバックヤードに連れてこられて舘様から告げられたのは、そろそろ店を辞めたいと言う衝撃の一言だった。
舘様は嬉しそうに目を細めて言った。
その時俺は、舘様のいう「潮時」の意味を理解した。
舘様は最初から、モテたいとか、愛されたいとか、そんな自分の私利私欲のためにじゃなくて、ずっとずっと、愛する人との夢を叶えるためにやってたんだ。
あーあ、俺と全然違うんだな。舘様って。
舘様曰く、もうホストの男メニューに彼の名が載ることはないし、新規客が指名したとしても辞退するそうだ。
残りの2週間程で、ホスト余生を過ごすらしい。
それに、舘様はもう満たされたから、幸せな人だから。
ここにはもう相応しくない。
ここに似合うのは、俺みたいな、どこか欠けた薄汚れたやつだから。
…どうだろう。
俺が夜職に就き続ける限り、俺は舘様と会わないつもりだ。
もし、ずっとホストをやめられないまま、こんな日々を過ごしていって、それが数年続いたとしたら。
きっと、2度と会わないことになる。
舘様がバックヤードの奥に行き、俺は煙草とライターを持って外へ出た。
カチ、とライターをつけて火をつけたそれを咥える。
調子に乗って煙を吸ったら思いっきり咽せた。
やっぱり相性悪いのかな。
煙草吸っても、酒に溺れても、俺は幸せになれないまま。
舘様、いいな。
誰かのために頑張れて、自由な人生で、愛する人と幸せな生活を送れて。
呟くと同時に息を吐き出して、俺は全く吸えなかった煙草を踏み潰した。
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ーーーあとがきーーー
どうも!とぱです!
今回は闇深めなテイストでお送りしました…💜
次はいわふかのいちゃいちゃをお届けする予定なんだとかそうじゃないんだとか((
とにかく!お楽しみに!!笑
💖、💬、🌟お待ちしてます!では!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。