第27話

<黄赤:短編> 傘を持たない恋人は
127
2025/11/29 13:20 更新
みことside

愛おしくて、かわいくて、かっこよさもあって、罪すぎる恋人と住んでいるお家に着く。

外に居て寒い中でも、恋人のことを考えるだけで暖かくなるんやけど…。雨が降ってるのが気になるんよな…。

差していた傘を閉じて、玄関の扉を開けて、様子を伺うように中に入る。
ただいまー、なっちゃんおる…?
おかえり、みこと
なっちゃん!__…やっぱびしょ濡れやん!?
予想はしてたけど…髪も服も濡れてるし、タオルで軽く拭いてるだけっぽいし…もっと自分の身体大事にして欲しいんやけど…!?
おれの恋人は、傘を持たない。

やから、雨が降ってる日は、必ずお迎えに行くし、お風呂だって沸かしておく。家中をあっためて、帰って来たらすぐに恋人の髪を拭いて、恋人の好きなミルクティーを用意して。心配しすぎって言われるけど、普通やと思う。

体調不良になって辛い思いをしているなっちゃんなんて、見たくないし…!

おれが予定無ければ良かったんに!!なっちゃんが風邪ひいちゃう!!
なっちゃん、えっと…お風呂沸かして…服!着替えよ!
えー、この場で服脱げってこと?みこちゃんてばえっちなんだから…
えっ__でもないし、そ、そういう話やなくて…!
でも俺、今冬服持ってないからさー…。冬はまだまだ先だと思ってたからクリーニングして預けてるし…
おれの貸すから!!なっちゃんは髪とか服もっと拭いてて!?
はーい…
急いで自分の部屋に向かって、なるべく暖かくなれるような服を探す。…この黒いパーカーでええかな。

リビングに戻り、ソファに座ってる恋人の状態を確認。
…髪、拭けとる?触るよ?
隣に座り、優しく髪に手を通す。さらさらとした感触。指も濡れないし、だいぶ乾いたかな…。
どさくさに紛れて撫でんなよ…w
確認するためやから!
……また後で撫でてくれる?
上目遣いでお願いしてくるのかわいい。そういうあざとい所も好き。
…なっちゃんがこれに着替えてきたら撫でる
そんな恋人を撫でたい気持ちを必死に抑える。今甘やかしてたらなっちゃん風邪ひいちゃうし。
別にもう乾いてんだしよくね?
念の為!!
はーい…
そのままパーカーを渡すと、横で服を脱ぎ始めるなっちゃん。
ちょぉっ、なんでここで着替えるん!部屋で着替えてきて!?
みことが見てくるんじゃんかw変態w
ちがっ、目に入っちゃっただけやから!もう見ない!
目を閉じて、耳に悪い衣擦れ音を聴きながら考えるのは当たり前のように恋人のことで。

…うぅ、ずっとなっちゃんのペースに乱されとるよぉ、雨のせいだぁ…!

でもここで負けてなっちゃんを甘やかしたら風邪ひいて体調悪くしちゃうし…。頑張れ、みこと…!
___このパーカーでか…w
みこと、もう目あけていいよ?
言われた通り目を開けると、そこにはぶかぶかのパーカーを着て、片手を顔あたりに当てて、萌え袖してるなっちゃんがいた。
みことの匂いして落ち着く…どう?似合う?
かぁいい。かわいい。かわいい…
見て見て、というような顔で微笑んでて。おれの匂いで落ち着く、なんてとってもかわいくて嬉しいことをを言ってくる恋人に、また好きやなぁって思いが深まっていく。

かわいいとしか言えないから、代わりになっちゃんの頭を撫でる。
着替えれていい子やね、よしよし
さすがに子供扱いしすぎだろ。…ありがと
撫でると、余計幸せそうに微笑むのかわいい。撫でる手を少し止めると、終わり?って感じで、綺麗な紅い瞳でおれの目を見つめてくるのもずるい。
なっちゃん、寒くない?大丈夫?
んー…ちょっと寒いけぇ、あっためて?♡
おれの恋人、甘えるの上手すぎへん?そんなん言われたらなんでもしたくなっちゃうから…!

かわいいかわいい恋人のお望み通り、おれより少しだけ小さい体に腕を回してぎゅってする。
ふはっ、みこと暖か…w
体冷えとるな…そろそろお風呂沸くと思うんやけど…
今日はいろいろ気遣ってくれる…いつもか。
大好きななっちゃんの為やもん。彼氏としてこれくらいしないと...
………ありがと//
素直に好きと言うと、照れて顔を赤く染めるなっちゃんは、何回見たってかわいい。

____しばらく抱き合ったままの状態でいると、よく聞く音楽と共に音声が流れる。

まだこのままでいたい思いを必死に抑えて、声をかける。
なっちゃん、お風呂沸いたみたいやから…
ん、分かった。入ってくる。
ゆっくりでええからね
そうするわ、ありがと
そんなかわいいなっちゃんがおれから離れるのは少し…いや、だいぶ寂しかったけど、恋人の健康が1番。

待ってる間は、推しなっちゃんの動画を見る。ホラーゲームをしてる時のなっちゃん、怖いシーンがあったらすぐバブになってやだやだ言って、リア友さんに甘えるんがかわいくて好き。おれもなっちゃんとホラゲ配信やりたいな…。
ドライヤーをかける音が聞こえたタイミングで、お揃いのマグカップに温かいミルクティーを入れる。…ミルクティーの色、なっちゃんの髪色みたいで綺麗やな…。

そんなことを考えていたら、リビングのドアが開く。なっちゃんが戻ってきたみたい。
なっちゃん、ミルクティー入れたから飲もう?
え!ありがとうみこちゃん
……ん、うま…
ほんま?良かったぁ、火傷気をつけてね
顔を綻ばせて、笑顔で飲んでくれているのがすごく嬉しい。作ってよかった。
過保護すぎん?w ……嬉しいけどさ。
大好きな人やから大切にしたいんよ。
紅色の瞳を見つめてそう言うと、大好きな人は顔まで赤くして固まってしまって。何も言わずに、ミルクティーを啜っていた。かわいい。
みこと、おはよ
んん……?
世界で1番大好きな声が聞こえ、目を覚ます。

起きてすぐ目に入るのは、恋人の大好きな笑顔で、それが嬉しくて。思わず笑ってしまう。
ふふ笑、なっちゃんおはよう
なんで笑ってんの
なっちゃんがかわいくて…
……朝から何言ってんだよ
昨日はあの後、おれも寝る準備をすませ眠ってしまったらしい。
いつだってなっちゃんはかわいいしかっこいいよ。…体調、大丈夫?熱ない?悪いとか…
みことのおかげでなんもないけぇ、大丈夫。昨日はほんとにありがと
今度から、ちゃんと傘持ってな?
みことと傘はいるために持ってないって言ったらどーすんの?
ぅ、それは…なっちゃんのとこまでお迎え行くけど…
ふはっ、じゃあ一生傘持たないわw
もぉ!体調悪くしても…看病するけど…
体調悪くしても知らないからね、なんて口うるさい親みたいな無責任な事は言えない。

どんなことがあっても、傍にいることが恋人の約目…ううん、おれがしたい事やから。

_____________________

プリ小説オーディオドラマ