みことside
愛おしくて、かわいくて、かっこよさもあって、罪すぎる恋人と住んでいるお家に着く。
外に居て寒い中でも、恋人のことを考えるだけで暖かくなるんやけど…。雨が降ってるのが気になるんよな…。
差していた傘を閉じて、玄関の扉を開けて、様子を伺うように中に入る。
予想はしてたけど…髪も服も濡れてるし、タオルで軽く拭いてるだけっぽいし…もっと自分の身体大事にして欲しいんやけど…!?
おれの恋人は、傘を持たない。
やから、雨が降ってる日は、必ずお迎えに行くし、お風呂だって沸かしておく。家中をあっためて、帰って来たらすぐに恋人の髪を拭いて、恋人の好きなミルクティーを用意して。心配しすぎって言われるけど、普通やと思う。
体調不良になって辛い思いをしているなっちゃんなんて、見たくないし…!
おれが予定無ければ良かったんに!!なっちゃんが風邪ひいちゃう!!
急いで自分の部屋に向かって、なるべく暖かくなれるような服を探す。…この黒いパーカーでええかな。
リビングに戻り、ソファに座ってる恋人の状態を確認。
隣に座り、優しく髪に手を通す。さらさらとした感触。指も濡れないし、だいぶ乾いたかな…。
上目遣いでお願いしてくるのかわいい。そういうあざとい所も好き。
そんな恋人を撫でたい気持ちを必死に抑える。今甘やかしてたらなっちゃん風邪ひいちゃうし。
そのままパーカーを渡すと、横で服を脱ぎ始めるなっちゃん。
目を閉じて、耳に悪い衣擦れ音を聴きながら考えるのは当たり前のように恋人のことで。
…うぅ、ずっとなっちゃんのペースに乱されとるよぉ、雨のせいだぁ…!
でもここで負けてなっちゃんを甘やかしたら風邪ひいて体調悪くしちゃうし…。頑張れ、みこと…!
言われた通り目を開けると、そこにはぶかぶかのパーカーを着て、片手を顔あたりに当てて、萌え袖してるなっちゃんがいた。
見て見て、というような顔で微笑んでて。おれの匂いで落ち着く、なんてとってもかわいくて嬉しいことをを言ってくる恋人に、また好きやなぁって思いが深まっていく。
かわいいとしか言えないから、代わりになっちゃんの頭を撫でる。
撫でると、余計幸せそうに微笑むのかわいい。撫でる手を少し止めると、終わり?って感じで、綺麗な紅い瞳でおれの目を見つめてくるのもずるい。
おれの恋人、甘えるの上手すぎへん?そんなん言われたらなんでもしたくなっちゃうから…!
かわいいかわいい恋人のお望み通り、おれより少しだけ小さい体に腕を回してぎゅってする。
素直に好きと言うと、照れて顔を赤く染めるなっちゃんは、何回見たってかわいい。
____しばらく抱き合ったままの状態でいると、よく聞く音楽と共に音声が流れる。
まだこのままでいたい思いを必死に抑えて、声をかける。
そんなかわいいなっちゃんがおれから離れるのは少し…いや、だいぶ寂しかったけど、恋人の健康が1番。
待ってる間は、推しの動画を見る。ホラーゲームをしてる時のなっちゃん、怖いシーンがあったらすぐバブになってやだやだ言って、リア友さんに甘えるんがかわいくて好き。おれもなっちゃんとホラゲ配信やりたいな…。
ドライヤーをかける音が聞こえたタイミングで、お揃いのマグカップに温かいミルクティーを入れる。…ミルクティーの色、なっちゃんの髪色みたいで綺麗やな…。
そんなことを考えていたら、リビングのドアが開く。なっちゃんが戻ってきたみたい。
顔を綻ばせて、笑顔で飲んでくれているのがすごく嬉しい。作ってよかった。
紅色の瞳を見つめてそう言うと、大好きな人は顔まで赤くして固まってしまって。何も言わずに、ミルクティーを啜っていた。かわいい。
世界で1番大好きな声が聞こえ、目を覚ます。
起きてすぐ目に入るのは、恋人の大好きな笑顔で、それが嬉しくて。思わず笑ってしまう。
昨日はあの後、おれも寝る準備をすませ眠ってしまったらしい。
体調悪くしても知らないからね、なんて口うるさい親みたいな無責任な事は言えない。
どんなことがあっても、傍にいることが恋人の約目…ううん、おれがしたい事やから。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!