修学旅行も終わり家に帰ると、早々に抱きついてきた兄さん。
控えめに言って死んでほしい。
『近いうち京都行くから良いけど。』と呟く兄さん。
行くんかい京都。
買ってきた八ツ橋をリビングにそっと置き、部屋に戻った。
翌日、修学旅行も終わり今日から通常授業。
通常、って言っても異質だけど。もはやそれに慣れつつある自分が怖い。
プルプルと震えながら転校生の名前を黒板に書く烏間先生。
今朝届いた一斉メール。転校生が来るという内容だった。
この時期に転校生。暗殺者だと言うのは一目瞭然で。そして前まではなかった黒いボックスのようなもの。
画面がついたと思えば挨拶だけしてすぐ消えた。
……苦労人の佇まい。
この人は労ってあげよう。いつもお疲れ様です。
彼女はれっきとした生徒として登録されているから危害を加えることは許されない。そういう説明だった。
嫌な予感しかしない。
どうせ今日は1日授業にならない。
そう思った私は、席から立ち上がり教室を出た。
いつもの場所でサボって景色を見ていると、思わぬ来客。
正直、烏間先生が何を考えているのかはまだいまいち分かっていない。
分かっているのは苦労人ってことぐらい。
………うん、お疲れ様です。
必要最低限のこと以外は話さない。
……なんか気が楽かも。こういう人の方が。
あぐらをかき、背筋をピンと伸ばす。
私の言葉に烏間先生はわけが分からないというような顔をする。
負け知らず。…そう思われても仕方ないけれど。
でもね烏間先生。
私は“勝ち”なんて知らないよ。
負けしか知らない。当然でしょ。生まれた瞬間からもう、私はそういう存在なんだから。
それはダメった。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。