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第1話

海風聖歌
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2026/08/30 00:28 更新
歌が聞こえた。この戦場で。
アリア・エイルヴァルト
荒れる海も
それは少女の声だった。
アリア・エイルヴァルト
黒い空も
確かに、船が浮かぶ海は荒れ、空も黒かった。
アリア・エイルヴァルト
恐れることはありません
戦争に不相応な赤く美しい衣を着て、ゆっくりと舞う。
少女は、笑っていた。
アリア・エイルヴァルト
この手が震え
確かに、幼く小さな女の手は震えていた。
アリア・エイルヴァルト
涙こぼれても
確かに、大きな瞳を持つ目から出た雫は海に深く沈んでいった。
アリア・エイルヴァルト
あなたを信じ歩みます
涙を落とすのは誰のためか。
アリア・エイルヴァルト
剣を取るのは憎しみではなく
剣、この言葉に男は気持ちが揺らぐ。
ここは戦場だ。兵士として、人を斬り続けなければならない。
しかし、手に、剣に、力が入らない。
アリア・エイルヴァルト
守りたい命があるから
少女は男の前でくるくると回り続ける。
不安定な船の上で。
アリア・エイルヴァルト
私の歩み
それは戦勝祝いにでもきた遊女のように。
アリア・エイルヴァルト
私の戦いで
男は少女に近づく。
アリア・エイルヴァルト
信じる心を示しましょう
しかし少女は回り、男は少女を掴めない。手が宙を舞う。
アリア・エイルヴァルト
海は導き
空が晴れていく。天使のはしごが見えた。
アリア・エイルヴァルト
風は支え
船を揺らす風が止んだ。
アリア・エイルヴァルト
翼は希望を忘れない
男の瞳は眩しい光に照らされ、銀に光る。
アリア・エイルヴァルト
この命尽きるその時まで
少女は穏やかに止まり、男を目で捉える。
アリア・エイルヴァルト
あなたへ捧げます
ヴァルディア帝国兵士
貴方の名は……
男は尋ねる。目には銀の光を宿したまま。
アリア・エイルヴァルト
アリア・エイルヴァルトと申します
少女は微笑む。
その瞬間、男の首が飛んだ。きれいな肉の断面を見せ、赤い弧を描きながら。
男の目に最後に映ったのは、太陽の光か、刀の銀か。
船の上で止まった少女は隠していた葉を素早く振るった。

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