第33話

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2025/11/29 09:01 更新
ここにいるみんなの顔が曇った。
そういうことか、察したよ。
結局最後は一緒で、最後までヒロインになれない、
ハッピーエンドが結末の物語を見届けられない、
どれだけ足掻いても、悪足掻きにしかならない。

どれだけみんなと一緒にいても、
所詮私はあいつらの娘だもんね。

みんなが捨てるとかじゃない。
そこで苦しむのが私の運命ってこと。
私もみんなもよく分かってんじゃん。

別にそんな顔しなくていい、私の運命なんだから。
今はお届けできないけど、いつか届くのかな、
ハッピーエンドが結末の素晴らしい物語。

ねえなんでそんな顔するの?わかんないよ。
きっと最後はハッピーエンドなんだから、笑って?
私が見届けることはきっと出来ない、
今は届けることも出来ない、
でもいつかきっと、いつか、きっと、届くから。

あ、私謝ってないからかな。
犯罪者なら悪いことしたんだろうな。

その場しのぎって思われて嫌われるなら、
それはそれで本望。

最後くらい、私を私のままで生きさせて。

「みんなのこと、傷つけたみたいで、
謝っても謝りきれないけど、ごめんなさい。
本当に無意識で、こんなの言い訳だよね。
申し訳ないです。

私は結局あいつらの娘で、
みんなの言う「犯罪者」っていう言葉が
合ってたみたいです。本当にごめんなさい。

そんな顔させて、ごめんなさい。

もうみんなの前には現れないです。
でもみんなが望むことがあるなら、
それは喜んでやらせていただきます。

ちなみに私が傷つけたのは、
目黒さんですか?岩本さんですか?宮舘さんですか?
教えてください。お願いします。
他のメンバーならその方を教えてください。
いらないって断られるのは分かってるけど、
直接お詫びさせてください。お願いします」

重い空気が漂う病室。神妙な面持ちの3人。
世界中が私を笑ってるんじゃないか、
見てるんじゃないかって錯覚するほど、
ドキドキする。心臓の音が早く鳴り響く。

そんな顔で私を見ないで。
綺麗なあなたたちの瞳に私をうつさないで。
哀れまないで。罵って。嘲笑って。


やめて。本当に嫌なの。
みんなに見られるのがいつからか苦手になったの。

みんなの考えてることって難しい。
犯罪者の娘だから、
みんなの思うことと違うこと考えちゃう。
どうしたらいいのか、分からない。

どうしても空気が嫌になって、
涙が溢れ出そうで、見せちゃいけないって思って、
部屋から飛び出そうかと思ったその時、
宮舘「あなたが何考えてるかわかんないけど、
誰もあなたを責めたいわけじゃない」

そんな声が聞こえて、言葉の意味を理解した瞬間、
暖かい何かが頬を伝った。

その何かを見せまいと思いつつ、
思ったままを口にする。
さっきの言葉よりもさっきの沈黙が
答えのような気がしたことを。

「知ってます。私、犯罪者なんですよね。
だからもうきっと何もないんですよね。
私のことなんて、諸々どうでも良くて、
ただ早く目の前から消えろってことだよね、きっと。

不快な思いさせてすみませんでした。
本当に申し訳ありませんでした。

そして誰かに辛い思いさせたから、
皆さんそんな顔してるんですよね。
誰を傷つけたんですか。教えてください。
謝罪させてください。本当にお願いします」

自分でも言ってることが
本当によくわかんなくなった。
何が原因で犯罪者になったのか。
本当はそれが一番知りたい。

でもまあ結局私も犯罪者っていう事実が
ひしひしと伝わってきて、
だんだん呼吸が荒くなるのはしっかりとわかった。
私はあいつらとは違うって思ってたのに。


頭の奥底で
「犯罪者の娘だ」
とメンバーから言われた日を思い出す。

悪いのは私だってわかってるのに、
思い出せば思い出すほどに、頭が痛い。


今度は私がただの犯罪者として、
社会とかみんなに
「犯罪者だ」
と指を刺されるということを自覚して、
どこか他人事のように考える。
「嫌だな」って。


そして唐突に頭に響く
「こっち来んな、犯罪者の娘」
呼吸が荒くなって息が苦しい。
このまま消えることが出来たらどれほど幸せかな。

思わず耳を塞ぐ。
もうなんか色々とよくわかんなくなって、
枯れさせたはずの涙が溢れてくる。
本当は声を上げて泣きたい。

だって「私」が分からなくなってしまったから。
「私」ってどうするべきなんだっけ?


分からなくなったのは、
きっと3人が私に言葉をかけてくれたから。

名前を呼んでくれたから。



昔から私のヒーローだから。

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