第75話

罪悪感とは善人を縛る鎖である
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2025/12/16 01:44 更新
〈iemon side〉
めめんともり
ぁ"
iemon
あなたがっ…あなたが!!悪いんですよ!!!


彼女を見つめ、あらんかぎりの力で首を絞める


そうだ、全部彼女が悪い
俺以外の人を見るから、俺以外の人と話すから、俺以外の人に笑うから、俺以外の人と歩くから
もう限界だ

俺は大していい男じゃないんだ
こんなにも美人で可愛い女性だ、簡単に惚れられて簡単に彼女を奪われてしまう、もしそうなったら耐えられない

iemon
……全部貴方が悪いんです、貴方が他の人の目に入ってしまうから、やめろと言ってもまたやるから…!!!!
iemon
全部!!貴方が!!!言うことを聞かないから!!!
iemon
………だから、もう……貴方を殺して、誰の目にも映らないようにするしか、ない
めめんともり
う…あ"っ……

彼女が嗚咽を吐く




手が、震えた。
首を絞める力が、弱まる



なにやってんだ俺は
これじゃ、彼女を殺せないじゃないか



俺は、彼女を、殺さなければならないのに




めめんともり
い、ですよ














iemon
は?

幻聴かと疑うほど優しい彼女の声が聞こえた

しかしそれは幻などではなく、現に彼女は俺に向けて両手を広げていた

さっき一瞬手を緩めたせいだろう



もっと強く絞めなければならないのに、俺の目は彼女の落ち着いた笑顔に囚われていて逃げられない


ちからが、どうしても、はいらない


めめんともり
…いい、ですよ、iemonさん。あなたに、殺されるのなら…ほんもう、です
なんで

なんでそんな優しい顔で俺を見るんだ
めめんともり
ほら、もっと強く絞めないと。
じゃないと息は止められません
なんでそんなに落ち着いているんだ

なんで暴れたり騒いだりしないんだ
めめんともり
絞殺って、一番殺された人の顔が脳に焼き付く殺し方らしいですよ。殺される側も苦しさのおかげで殺した人を忘れられなくなりそうですが
なんでやめろと言わないんだ

なんで拒否しない?なんで俺を嫌わない?
めめんともり
iemonさん、はやく、
私を殺してくれないんですか?
やめろ、やめてくれお願いだ

そんな優しい顔をしないでくれ
俺を許さないでくれ、俺を嫌ってくれ

ひたすらに暴れて、嫌がって、俺を嫌って、可能な限りの罵倒の言葉を俺にぶつけて刺してくれ


彼女の微笑みが、暖かさが、全部全部が俺を刺す

全ての優しさが鋭い刃となって、罪悪感という名を冠して俺の体が貫かれそうだ


iemon
っあ、あ、うあっ………
iemon
あっ……あぁ………


めめんともり
…iemonさん?
めめんともり
もう、力…入ってませんよ?













iemon
ごめ、なさ……
めめんともり
え?



iemon
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいお願いします許さないでください俺なんか最低だごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
めめんともり
ちょっとちょっと、どうしたんですか!謝るべきことなんてiemonさんは何をしていないでしょう?
iemon
ちがっ、ちが、う……違うんです、俺はッ…!!!
iemon
……ぁ………ああ"あ"っっ…!!!!






めめんともり
iemonさん、私のこと嫌いですか?
iemon
必死に首を横にふる

当たり前だ嫌いになるわけない


そんな俺を彼女は抱きしめ、離し、口を開く


めめんともり
…なら、お昼ごはん作ってください!二人分!ね?
iemon
え、まッ……俺は、俺は…
めめんともり
嫌なんですか?
iemon
ちがっっ!!!そんな、ことはっ…!!!
めめんともり
なら作ってきてくださいよ。
話はあとでにしましょ、ね?
iemon
……は、い…


ふらつく足取りでキッチンへ向かう
指先にまで意識が届かない


刺さった罪悪感を何とかする方法案だけがひたすら脳に散らされていた俺は












めめんともり
………っはは…♡

さっきとはまるっきり違う彼女の様子にすら、気づくことはできなかった
                  Fin.

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