第44話

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2024/06/13 09:00

 あなた side










禪院 文縄
  その後、あの子ったら簡単に  
私の話を信じきっちゃって
禪院 文縄
  出産日が近かったから、
貴方とあの子の赤子を
簡単にすり替えることが出来たの
禪院 文縄
  呪力量は少し差異があったけれど  
女に興味のないこの家だもの
皆気付かなかったわ



禪院 文縄
  気付いていたとしても  
この家は貴方を捜す気も無かった
禪院 文縄
  それほど、この家にとって  
''女''というのはその程度のモノなのよ






       目の前のソレ……私の母親は

       私にも理解できるように

   話をこと細かく噛み砕いて説明してくれた。






         その甲斐あってか、

   自分がどういう状況に置かれているのかは

        なんとなく理解出来た。





あなた
  ねぇ……おかあ、さん  





     さっき殴られた時に切れた口の中が

      言葉を発する度にジンジンと痛む。

   まるで体が言葉を出すのを躊躇っているみたい。































あなた
  私は……どうすれば、よかったの  
禪院 文縄
  っ……  






        頬が濡れて傷に染みる。

     あぁ痛い。痛いのは好きじゃないのに。





あなた
  たくさん人を殺したから  
スキだと思えた人も私を見てくれない





    ふしはずっと、死んだアイツを見てる。

     私がふしの瞳に映るなんて無理なんだ。





あなた
  どうやったら私は見てもらえるのかな  
あなた
  どうやったら私は__________  


















 『  アンタなんか絶対に幸せになれない  』






















      あの女彌生の言葉が脳裏にチラついて

     首にある古傷がジリジリと痛み出す。




















あなた
  ''幸せ''に…なれるのかな  
禪院 文縄
  っ……  






       私の言葉に顔を歪めた母親は、

    私の手を優しく握りしめ、その口を開いた。





禪院 文縄
  私が…私が絶対に幸せにするわ  
禪院 文縄
  貴方の望むものを全て与えてあげる  
禪院 文縄
  どんな存在でも、邪魔しようものなら  
私が全て排除する





    私と同じ真っ黒な瞳はどこまでも深くて

  なにか強い思いが込められているように感じた。





あなた
  どうして…そんなこと…  
禪院 文縄
  だって、貴方は私の''娘''でしょう?  
あなた
  でも、妹のことは…  
禪院 文縄
  彌生なんて、同じ母体から生まれた  
だけの存在よ。価値なんて無いわ
あなた
  ……  



    冷ややかな瞳でそう言った母親の言葉を

    「確かに」と密かに納得してしまうのは

   きっと、私達が親子だからなのかもしれない。



禪院 文縄
  でも、貴方は違う  
禪院 文縄
  私の体から生まれ、私の血を分けて  
私の願いの元で生まれてきてくれた子
禪院 文縄
  だから、そんな貴方の幸せが  
私の幸せでもあるのよ
あなた
  〜っ、  





     そう母親は、優しく私を抱きしめる。

      コレの行動は、妹の時と同じで

      なにか企みがあるのかもしれない。

   今度は私を騙そうとしているのかもしれない。





   それでも、そんな疑念なんて気にならないほど

   胸のあたりが暖かくなる感覚が心地よかった。










_@_
久しぶりの更新だったにも関わらず温かい
コメント沢山頂けてとても嬉しかったです
_@_
物語は終盤に迫っていますが
まだまだ山場は控えてますのでお楽しみに






_@_
交換宣伝です
とても丁寧に心情描写が描かれている
素敵な作品ですので皆さんもぜひ🙌🏻



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