第45話

生きる資格
293
2024/06/16 08:11

 伏黒 side











      五条さんが出張から戻ってきた後

     あなたのことを俺から説明しに行った。





五条 悟
五条 悟
  へぇー。それで、恵はあなたが連れて  
行かれるのを黙って見てたわけだ?





      この人のそんな悪意ある言葉に、

   いつもの俺なら反論していたかもしれないが

     今回ばかりは五条さんが正しいから

    俺は何も言わず、ただ拳を握りしめる。




五条 悟
五条 悟
  まっ、恵のことだし…色々考えた挙句  
何も言えなかったんだろうけど
伏黒 恵
伏黒 恵
  ……  
伏黒 恵
伏黒 恵
  ……俺は、虎杖を死なせてしまった  
自分の未熟さに対する怒りを
アイツにぶつけてしまったんです
五条 悟
五条 悟
  …………  
伏黒 恵
伏黒 恵
  正直、俺にあなたを引き止める資格が  
あったとは思えません




   俺は、ひとしきり内に秘めていた言葉を伝え

    下げていた視線を再び五条さんに戻す。






        視界に入った五条さんは、

  予想外にもそんな俺の態度に感心したかのように

         手を顎に添えていた。





五条 悟
五条 悟
  はぁー、昔から思ってたけど  
相変わらず考え方が陰気臭いね〜
伏黒 恵
伏黒 恵
  俺は真面目に話してるんですけど  





      クククと笑う五条さんの顔面を

     殴りたくなる衝動を何とか抑える。




   この人、本当に人をイラつかせる天才だな。






五条 悟
五条 悟
  まあでも、資格とかそんなこと  
言い始めたら……




五条 悟
五条 悟
  そもそも、あなたに''生きる資格''は無い  
伏黒 恵
伏黒 恵
  ……っ  



       五条さんの冷たい一言で

    喉がギュッと締め付けられる感覚に陥る。




    ずっと気付かないフリをしていた考えを

      言い当てられたみたいな気分だ。



五条 悟
五条 悟
  高専に通う資格も、呪術師になる資格も  
普通に太陽の下を歩く資格も
五条 悟
五条 悟
  呪詛師となった時点で剥奪されて当然だ  
五条 悟
五条 悟
  それを全部、
僕が頑張って与えてあげた・・・・・・んだ





      五条さんはその長い足を組み直して、

      背もたれにグイッと重心を預け

     何も無い天井を目隠し越しに見つめる。




五条 悟
五条 悟
  それをさ〜、禪院家に
良いとこ取りされるなんて……



















































五条 悟
五条 悟
  ……正直、ムカつくでしょ  




   ズシッと、岩が肩にのしかかる様な威圧感。

   こういう時、この人が「最強」だという事実を

         再認識させられる。



伏黒 恵
伏黒 恵
  …………、  
五条 悟
五条 悟
  …………  





      天井を見つめていた五条さんは

       黙ったままの俺を一瞥すると

       低い声のまま言葉を続けた。




五条 悟
五条 悟
  恵なら、僕の言いたいこと…  
五条 悟
五条 悟
  わかるよね?  





  ニヤリと笑ったその顔をやっぱり殴りたくなった。





         この人は相変わらず

      人の都合なんてどうでもよくて

    俺の資格どうこうの話も、関係ないんだ。





伏黒 恵
伏黒 恵
  ……あなたを、  
伏黒 恵
伏黒 恵
  ……''連れ戻して来い''と?  






       俺のため息混じりな声の後に

「ピンポーン!」と、通常通りの陽気な声が響いた。





プリ小説オーディオドラマ