そう思いながらも、目は入口の方を見てしまう。
入ってきた人影を見た瞬間、呼吸が一瞬止まった。
柔太朗だった。
思わず固まってると、柔太朗もこっちに気づく。
目が合う。
自分でも変なことを言ってると思うけれど、それしか出てこなかった。
そう返すと、少しだけ笑う。
小さく言い返して、そのままレジに向かう。
後ろからついてくる気配。
カゴの中を覗き込まれる。
そう言いながら、棚から同じ缶を一本取る。
店の外に出ると、なんとなく並んで歩き出す。
前と同じ道。
でも、前よりも距離が近い気がする。
即答すると、少しだけ笑われる。
ちょっとだけ言い返したくなるけど、やめた。
思わず足を止める。
否定すると、柔太朗は少しだけ笑う。
子どもみたいなやりとり。
でも、嫌じゃない。
むしろ懐かしい。
少し歩くと、小さな公園が見える。
ベンチに座る。
缶を開ける音が、小さく響く。
一口飲んでから、
名前を呼ばれて、そっちを見る。
急すぎて、反応が遅れる。
少しだけ早口になる。
柔太朗は一瞬だけこっちを見て、
って、あっさり言った。
平然を装ってそう返す
柔太朗が少しだけ笑う。
そう言いながら、もう一口飲んだ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!