第3話

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2024/03/04 00:34 更新
ジョシュア
おしぼり、交換しますね
顔を上げると、ジョシュアさんが
新しいおしぼりを持って立っていた。

使ったものと交換して
水の入ったグラスも置いてくれた。
あなた
すみません…ありがとうございます
少しだけ目を合わせて
軽く会釈して…



ここまではいつものやり取り。




すると
ジョシュア
あ、ここ
あなた
…えっ??


すぐに立ち去るはずのジョシュアさんが
更に声をかけてくるとは思わなくて驚いていると、


テーブルに広げたレポート用紙を
指差して彼は言った。
ジョシュア
この英単語…

スペル、違ってます
あなた
え、あ、ほんとですか?


えぇ〜っと…

何だっけ?正しいスペル…




突然のことに動揺して
スペルなんか思いつくはずもなく戸惑うしかない。

ジョシュア
ごめんなさい。
シャーペン、お借りしてもいいですか?
咄嗟にシャーペンを差し出すと
彼はレポート用紙の隅に
薄く、正しいスペルで英単語を書いてくれた。
ジョシュア
こうです。
…ね。pleasure。
発音も…すごく綺麗。
あなた
あぁ、そうだった。
eとa、逆にしちゃったんだ。
ありがとうございます…

英語、あまり得意じゃないんです



余計なこと言っちゃった…。

こんな簡単な間違いも正せず
英語が苦手だなんてことまで暴露して、
私、何がしたいんだろう。
ジョシュア
僕こそごめんなさい
レポート用紙覗いちゃったりして。
たまたま見えちゃったから、つい…

あとでこれ、消してくださいね
あなた
いいんです!
教えてくださって助かりました。
ありがとうございます
ジョシュア
いえ。
ごゆっくりどうぞ



いつもの優しい笑顔を残して

彼は去っていった。






あなた
はぁ〜〜………



せっかくなんでもないフリをしているというのに

こういうことが起きちゃうのはどうして…?




彼にとっては、接客ついでの
ほんの親切でしかないのに。



みっともなく動揺なんかして
それなのにちょっと嬉しくなったりして


やっぱり好きかもなんて
思ってしまう自分に少し腹が立つ。










レポート用紙の隅に薄く書かれた英単語。





「pleasure」=「喜び」。







私の心の中を見透かされたような気持ちになって


誤魔化すように消しゴムを手にするけど、





…消せない。


消せるわけない。



そのまま消しゴムをペンケースに押し込んで

振り切るようにレポートに集中することにした。

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