第78話

 # 77 
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2024/04/28 10:26





 神咲 茉莉奈 
ホントはね、徹が私から離れていくんじゃないかってずっと不安だったの。



  力なくへらっと笑う茉莉奈さん。


  その横顔が何だかすごく切なくて
  無意識に私の胸が締め付けられていた。


 神咲 茉莉奈 
貴方、徹のオーバーワークが酷い時にも助けてくれた子でしょ?
媛煌 あなた
えっ、
 神咲 茉莉奈 
徹から聞いたよ、うちのマネージャーがしっかり叱ってくれたって。…泣いてまで。



  最後に付け足された泣いてまでという
  言葉が、何故か胸に引っかかる。


  茉莉奈さんはこの話を徹くんから
  聞いた時、どう思ったんだろう。


媛煌 あなた
あの、私…余計なことしましたよね。あの時は、感情が高まってて……ごめんなさい、。



  実際、あの件は徹くんの心に干渉
  しすぎたと反省している。


  だがこれは次の茉莉奈さんの
  言葉によって打ち壊される。


 神咲 茉莉奈 
ううん、感謝してるの。
媛煌 あなた
えっ…?
 神咲 茉莉奈 
あの時は私も自分のことでいっぱいいっぱいで…徹のことにまで気遣ってあげられなかった。
媛煌 あなた
っ、!
 神咲 茉莉奈 
オーバーワークに気づかなかったの。だからそれを聞いた時、びっくりしたし気づけなかったのがすごく悔しかった。



  涙が薄らと浮かんでいる茉莉奈さん。


  その姿を見ると勝手に体が動いていた。


  茉莉奈さんの白い手を握る。


  _ 爪を見れば分かる。


  この人がどれだけ本気でバレーに
  向き合ってきたか。


  しっかりと手入れがされている。


  皮膚は普通の女子よりも少し固くなっている。


  ボールを打ち続けているなによりの証拠だ。


  そんな茉莉奈さんの手を
  そっと優しく、割れ物を扱うように握った。


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お気に入り7000ありがとうございます😭😭
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書き直し作品やっと投稿出来ました!!

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