仕事が終わった。
ラウールくんの告白に唖然として忘れてたけど、
今日は遊んで帰る日。
足が重い、行きたくないなぁ、、
関係を切ればいいって周りは思うかもしれないけど、お金くれるから切れないんだよね。
ラウールくん、きっと素敵な人がいるよ、もっと綺麗で純粋な人がいいよ。
俺なんかより、ずっといいよ、ラウールくんは
まだ若い、こんな汚れた俺を、
あ、そういえば、阿部ちゃんに貰ったチケット、
康二いつ誘おうかな、
可愛い康二を考えて、気を紛らわそうとするけど、
あのおじさんが脳裏に浮かぶ、
流石にダメか、はぁ、行くしかないかぁ
大丈夫、おじさんとやったところで何も減らない
お金が増えるだけ。
メッセージで送られていた、ホテルの場所まで歩いた。
媚びを売るように、甘ったるい声を出して、
おじさんをその気にさせる。
早くその気にさせて、早く終わらせて帰ろう。
準備なんてしてるわけないし、早く入れて欲しいわけでもねぇけど、
早く終わればいい
ニヤニヤした顔でそう言うおじさん
気持ち悪ぃ
俺、その気にさせるの得意みたい
お得意の上目遣いでだめ?ってやると
大概のやつは俺に落ちる
部屋に入ったらいきなりがっついてきやがった
気づいた時には俺は服を脱がされて、
裸でベッドに押し倒されてた
ニヤニヤして、いやらしい手つきで俺を触ってくる。
入り口を触られると、手つきが止まった
え、いきなり何言ってんの
さっきの表情とは裏腹に、険しい顔つきになり、
詰めてくるおじさん、
やばい、地雷踏んだかも
息が詰まった、
こんなにも恐怖に満ちた夜は無かった。
今まで暴力してくるやつとか、色んな人がいた、
けど、
この人の顔は狂気満ちてる。
もう逃げられない、そんな気がした。
身体が否定してるのに、俺は逃げることができない、
哀れな奴、可哀想なやつ、
いつか翔太にも、愛想つかされるんだろうな、
やばい、無意識に名前を呼んでたみたい、
おじさんの腰の動きが更に早くなり、乱暴になってくる
生理的な涙が溢れてくる、
早く終われ、早く、、
誰か助けて、お腹が苦しい、腰もしんどい、
数時間後、俺はもう体力は無く、ベッドに沈んでた。
顔は涙と汗でぐちゃぐちゃ
お尻も気持ち悪い、
お腹も気持ち悪い、
ヤリ捨てかよ、
おじさんが部屋を出て行ったのを確認して
もう一度枕に顔を埋める
どうやって帰ろうかな、腰痛いから動けないや
とりあえず、携帯を取り出して、
誰かに連絡しようにも、
こんな醜い今の姿を誰かに晒すことはできない。
連絡先を探していたら目に入った文字
"渡辺翔太"
時計を見れば日を跨いでて、1時を過ぎそうになっていた。
少し期待しながら、電話してみる
3コールで出なかったらやめよう。
プルルル、プルルル、プルルル、、、
あ、出た
翔太も遊んでたのかな
じゃあ疲れてるよな
こういう時に限って、感がいいよね
今まで溜めてた気持ちが爆発してしまう。
位置情報送ってって言われて、送った
ありがとう翔太、
俺、翔太がいないとやっぱりダメだなぁ、
翔太の声を聞きながら、翔太が来てくれるのを待った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!