第2話

sakuya × yushi
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2026/01/24 14:13 更新










空腹で目が覚めた。

スマホで時間を見るとまだ6時で、まだ誰も起きてないだろうなと思いながら、のそのそとベッドを降りる。




「ねっむ …」




何か食べるものがないかと冷蔵庫の中を漁ると、卵とバターと牛乳を見つけた。

レンジの上には食パンも1袋ある。

… これはあれ作るしかないでしょ。




どうせなら皆の分してやるか。

取り敢えず適当に卵を3個くらい割って混ぜて、そこに牛乳を入れてみる。






「分量とか分かんねぇな …」




… これで失敗したらまた「料理下手」とか「赤ちゃんなんだから作るのやめとけ」とか言われんだ。




「おはよ」




「あ ? おはよ」




大人しくレシピを調べていると、寝癖をつけたゆうしが目を擦りながら起きてきた。

テーブルに並べられた材料を見て「フレンチトースト ?」と言う。




「だめじゃん さくちゃん1人でやったら … 」

「だめじゃん さくちゃんひとりでやったら …」

「危ないでしょ」




「もう俺16なんで 大丈夫です」




「いや それを食べるおれらがね」




てっきり包丁とか火の使い方的な意味で心配されてると思ったのに。

ゆうしまで俺の料理下手をいじる気だ。




「仕方ないなぁ」




眠そうにあくびをしながら手を洗い始めるゆうし。




「いいって 1人でできる」

「眠いなら寝ときなよ」




「いいから …」




手を拭き終えたゆうしが、「早く作ろう」と背中を叩いてくる。

俺に拒否権はないらしい。









「これ 卵の殻入ってるよ」




「まじ ?」





2人でレシピを見ながら、卵を溶いて、牛乳と砂糖を混ぜて、パンを浸して、一つ一つ丁寧にやっていく。

一つの作業が終わる毎にゆうしに報告すると、優しい声で「上手上手」なんて言われるから、嬉しいようなくすぐったいような気分になる。





「火 気をつけてね」




分かってるよ、と思いつつちゃんと気をつけて、熱したフライパンにバターをひいていく。

その上にひたひたのパンをのせると、じゅうう、と焼き音が聞こえてくる。

… なんか、料理って感じ。




「上手いじゃん さくちゃん」




様子を見にすぐ隣に来たゆうしから、ふわっと爽やかな甘い匂いが漂ってきた。


胸がゆうしの匂いでいっぱいになって、少しどきどきしたのは内緒で。









「え … 美味そう」


「いただきます」

「いただきます」




いい感じに焼き目がついて、メープルシロップがたっぷりかかったフレンチトーストは、どう考えても過去一の出来だった。




「美味しい」




「うん 美味い」




「レシピ通りにすれば美味しくなるんだよ」




「… うん」

「まあ 今までのは自己流俺のオリジナルだったってことで」




出来たてであつあつのフレンチトーストをはふはふ食べるゆうしを眺める。

なんか、いつもシオンくんがゆうしに言う「なんでそんなに幸せそうに食べるの ㅋ」って意味が分かった気がした。




「ん ?」




「なんでもない」




… ヒョンはいつもゆうしのこんな表情見てたんだ。

なんか複雑。




「なに 笑」

「なんかついてる ?」




「いや ? なんでもない」




ふわふわでとろとろで、甘すぎないくらいに甘くて美味い。

これはもう料理下手なんて言われないわ。




「これでもうさくちゃんも1人で作れるね」




「うん」

「でもまた一緒に作りたい」




「1人でできるんじゃないの ?」




「うん でも 楽しかったから」




「楽しかった ? 笑」




「うん」




「かわいい 笑」




後でフレンチトーストのこの写真weverseにあげて、シズニにも見せてあげよう。

作ってる時に隠し撮ったゆうしの写真は見せてやんないけど。




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