あなたside
物語はいつも些細なことから始まる。
お父さんはそう言い、私に数字の書いてある紙と転入届、そして鍵を渡して家を出ていった。
昨日までの賑やかな家はもう戻ってこない。
1人、薄暗いリビングで絶望を感じていた。
小さい頃から、ずっとお父さんと一緒だった。
私の頼れる人はお父さんしかいなかった。
母は、私が幼い頃病気で他界していた。
母との思い出は、指で数えられるほどしかない。どんな人で、どんな声で、どんな風に私を呼ぶのかさえ分からない。
でも、隣にはいつもお父さんの笑顔があり、それだけで十分だった。
渡された転入届が、ふと視界に入る。
そこには、特待生と書かれていた。
気になり、スマホを開いて「聖ブリリアント学園」と打つ。
ウィキペディアを開くと、校舎の外観が写真として出てきた。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!