あなたside
次の日の朝。
私は校舎を前にして絶句していた。
昨日、ウィキペディアから出てきた写真そのものだった。
いざ、校舎を目の前にすると足が震えて、上手く歩けない。
周りは、いかにもお嬢様・御曹司のオーラを放っている生徒で溢れている。
そう呟いた途端、
突然の悲鳴に振り返る。
堂々と歩く3人の男子生徒。
周りの女子は、その男子生徒に道を開けるように端に寄って、悲鳴をあげている。
耳に入った名前らしき言葉に首を傾げる。
その途端、私は誰かに引きづられた。
茂みに突き飛ばされる私。
その拍子に大きくしりもちをついてしまった。
突然現れた、赤髪の生徒。
光輝。そう呼ばれた赤髪の生徒は、しりもちをついている私にそっと手を差し伸べてくれた。
さっきの『王子』と呼ばれていた3人がこの場に集まる。
周りが騒ぎに気づき、続々と人が集まる中、場違いだということに恥じらいを抱き、思わずその場から駆け出した。
『王子』
確かにあの3人はキラキラしていた。周りのお金持ちの生徒とは違う、周りを引き寄せるオーラがあった。
でも、これで気づいた。
私とは住む世界が違うんだって。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。