あなたside_
結局、行くあてが無くてそのまま帰ってきてしまった。
カフェのスタッフとしての仕事はもう終わってたから大丈夫だった……よね…?笑
今は16時すぎ。たしか文化祭は15時で終わるから、もう既に他のみんなも家に着いている頃だろう。
あのあと、2人はどうなったのかな……
もしかして復縁するとか…無いよね……!?
でも、もしそうなったとしても私は何も言えない。
そうなんだ、って受け入れるしか無い。
__だって、私はシルクと付き合ってないから。
深いため息をつく。
初めての恋なのに、いきなりこんな辛いなんて聞いてないよ…
シルクなんて好きにならなければ良かった……
プルルルルルルル プルルルルルルル
私の手の中でスマホが震える。
手で涙を拭って、画面に目を凝らした。
通話ボタンを押し、1呼吸置いて もしもし、と言うとシルクの寂しそうな声が耳元で響いた。
そんなこと……
涙が止まらない。止められない。
いつでもいいなら、今に決まってる。
電話口で、ホッと息をつく声が聞こえる。
未だにポロポロとこぼれて止まらない涙は、私たちの未来を照らすかのように夕陽に輝いている。
~END~
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。