ゆうside
車に入ってかられるちは僕と一度も目を合わせずに勝手に話を進める
れるちもあなたの下の名前が好き
うすうす、というかメンバーはみんなそうなんだよな
みんながあなたの下の名前に対する見方はただのメンバーといえるほど簡単じゃなかった
くにおなんて好きだだ漏れでグループとしての形がなかったら彼氏と勘違いされてもおかしくないほど
かくいう僕もそのうちの1人なんだけど
ただ、もしこの質問に真剣に答えてしまえば
本当の気持ちをメンバーに話してしまえば
僕たちはこのままグループとして活動をすることができるかわからない
ましてや個人が集まった無名の歌い手のグループだ
解散した後の将来に保証なんてない
せっかくここまできたのに
僕らは1人じゃ何もできないのに
僕にはグループが必要だった
嘘だ。
僕だって好き
れるちがあなたの下の名前を想う気持ちより僕の方が好き
だけど、ここで我慢しないと、
ここで踏ん張らないと
この先僕らに未来なんてない
一つの嘘でこのグループを守れるなら
僕の我慢なんて安いものだ
信号にかかる
黄色から赤に変わって車はスピードを落とした
車から降りるとれるちはまるでさっきとは別人のようにお肉の元へ一直線に走っていった
幼稚園児みたいにタッタッとかけていって冷蔵庫にお肉を入れていく
その姿をあなたの下の名前は微笑みながら見ていた
しーんとしたくにおの部屋を開けると
こえくんはくにくんの髪を掴み
くにおはこったんの手を恋人繋ぎして
だけどこったんはくにくんを握り返さず手を広げている
みんな画面に向かって難しい顔をしながらカタカタしたり、動画のチェック、メールの返信をしている
パッとこっちを見る顔はまるで幼稚園児
かわいいなぁ
だけど、
だけどこの3人もあなたの下の名前が好きなのか
パソコンを閉じて、階段を駆け抜けるこえこたを見送り、くにおと一緒に下へ降りる
メンバーを見るとあなたの下の名前を思い出す
あなたの下の名前を見てもメンバーを思い出す
後悔は嫌だな











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。