第14話

第14話:“言わなくても、わかれよ。”
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2026/01/02 09:00 更新
その日は、最初から少しだけ噛み合ってなかった。

朝、目が合っても
りうらくんはすぐ逸らすし、
消しゴムを拾ってもくれなかった。
あなた
(……昨日まで、
あんなに近かったのに)
昼休み。
友達と話していると、
別のクラスの男子に声をかけられた。
モブ
「ノート見せてくんない?」
りうら
「うん、いいよ。」
それだけ。
本当にそれだけなのに――

視線を感じた。

りうらくんが、
少し離れたところからこっちを見てる。

目が合った瞬間、
なぜか、冷たい顔をされた。
あなた
(……なに? 私、なにかした?)
放課後。

勇気を出して、屋上前で声をかける。
あなた
「……りうらくん。」
りうら
「今、無理。」
短く、それだけ言われて、
胸がぎゅっと痛んだ。
あなた
「……話したいこと、あるのに。」
りうら
「だから。」
彼は立ち止まって、振り返る。
りうら
「俺が今、余裕ねぇの分かんねぇ?」
その言い方に、
思わず感情が溢れた。
あなた
「分かんないよ!」
あなた
「何も言ってくれないじゃん!」
一瞬、沈黙。
りうら
「……他の男と、
あんな近い距離で話すな。」
低くて、抑えた声。
あなた
「え……?」
りうら
「見てて、正直キツかった。」
その言葉に、
今度は私の胸がきゅっと締まる。
あなた
「でも……友達だよ?」
りうら
「……わかってる。」
りうら
「わかってるけど。」
りうらくんは拳を握って、目を伏せた。
りうら
「嫌だった。」
その一言が、
怒りじゃなくて、
不安から来てるって分かってしまった。
あなた
「……ごめん。」
私が言うと、
彼はゆっくり顔を上げた。
りうら
「謝らせたいわけじゃねぇ。」
あなた
「……じゃあ。」
りうら
「言えよ。」
一歩、近づいて。
りうら
「不安なら、不安って。」
その距離で、
りうらくんは小さく息を吐いた。
りうら
「……お前、取られそうで。」
りうら
「怖かった。」
初めて聞く、弱い声。
あなた
「……私も。」
あなた
「急に冷たくされるの、怖かった。」
少しの沈黙のあと、
彼はそっと手を伸ばしてきた。
りうら
「……悪かった。」
りうら
「ちゃんと、言う。」
そう言って、
私の手を強く握る。
りうら
「好きだから。」
りうら
「独占欲、強いから。」
りうら
「でも……大事にしたい。」
その言葉に、
全部許してしまいそうになる。
あなた
「……じゃあ。」
あなた
「これからは、ちゃんと言おう。」
私がそう言うと、
りうらくんは照れたように笑った。
りうら
「……約束な。」
夕焼けの中、
手を繋いだまま、少し長く立ち止まった。

さっきまでの不安が、
全部、あたたかさに変わっていく。

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