どうやら大分コーヒー好きらしい
上司のオネダリに重い腰を浮かせると
そんな私の思考を読んだかのように、
降谷さんが追加で声を上げる
つい、とはにかむように笑った降谷さん。
と見せかけてこの作られた笑顔は
安室さんスタイルのものだ。
……今ので世の女の大半は堕ちるだろう
_______ まあ、私には効かないけれど。
むしろ、こういった降谷さんの
「作られた完璧」が非常に苦手だ。
多少見つめ返したところで軽く会釈を返し
給湯室に向かおうと一歩踏み出すと
一体何がおもしろいのか
降谷さんはくっくっと喉を鳴らして
肩を揺らして笑っていた。
目頭を片手で抑え、
笑いを隠そうともしない降谷さんは
ひらひらともう片方の手を
私を送り出すかのように振ってきた。
仕事をしすぎて変になったんじゃ、と
様子のおかしい上司に気を取られていた私は
遺書を堂々と机の上に
置いていることなどすっかり忘れて
_______そのまま部屋を出てしまった。
_______ そう、そのせいで
コーヒー片手にドアを開けた私は、
目の前の光景に固まることに
なってしまったのだ。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。