前の話
一覧へ
次の話

第18話

16
992
2024/08/10 14:44 更新
目黒side
人は運命の人に会うと雷が落ちるような衝撃が走る。




俺もこれをあの日に体験した。あの日、初めて康二にあった日俺は見事に一目惚れした。その後何かと康二が東京に来る度に会う約束を取り付けていた。でもそんな日は急に途絶えた。




康二は関西の新グループに入れられなかった。その事は俺にも届いた。それからだ。康二との距離が遠のいたのは。忙しいだろうと理由を付けて康二との連絡を我慢するようになった。本当は康二にどんな言葉をかけたらいいのか分からなかっただけだ。





好きな人なのに、声をかける勇気が出ない。何かと理由をつけて連絡を取らないようにする。いつの間にかこれが普通になっていた。もしこれに囚われていなければ康二とまだ活動して、康二も世間に囚われることは無かったかもしれないのに。
自分の情けなさに腹が立った。少しでも俺が動いていれば変わっていたかもしれない未来をどれだけ夢で見たのだろう。この10年間で俺は数えるのも億劫になるほど見てきた。その度に夢で見る康二の笑っている顔が現実でしているであろう顔とは真逆だということも考えてきた。
でも、違った。康二には頼れるたった1人の運命の人がいた。康二は笑っていた。ずっとじゃないだろうけど、俺が夢で見ていた顔をしていた。その人が俺じゃないことに少し思うところがあったがそんなことどうでもいいくらいに安心した。





『好きな人が笑っている』





こんな小さいことがこんなにも嬉しいなんて思ってもいなかった。嬉しいだろうなとは思っていたが、想像を超えていた。
そしてその運命の人も康二並に素敵な方だった。康二が好きな人だからいい方だろうとは思っていたがこれもまた想像を超えていた。更には子供もいたことに驚いた。幸せそうな家庭を持っていた。
とにかく安堵した。泣きそうになった。帰ってからホテルで大号泣した。好きな人の幸せ。もし好きな人が自分以外の手で幸せになったら祝福できるのか不安だったがそんなこと一切なかった。俺では実現出来なかったことを叶えてくれた方。康二だけでなく俺の願いまで叶えてくれた。
一生感謝してもしきれない程救われたのは康二だけでなく俺も、メンバーもファンの方もだろうなと思った。








幸せ。


この一言には一言では表せないくらいの重みがある。












願わくばこの世界にあるどんなことよりも幸せな未来がこの家庭に降り注ぎますように。











ホテルでひとしきり泣いた俺が願った一生の願い。

プリ小説オーディオドラマ