外回りから帰ってきたばかりにも関わらず、
萩原は 松田の隣のデスクに突っ伏して、
深く寝入ってしまっている。
捜査一課の問題児である松田が、
まともに見えてしまうこの光景。
これが如何に異質なものであるかは、
捜査一課の人間でないと分かるまい。
雑談を聞きつけてか、萩原が
ゆるりと瞼を開ける。
寝起きの彼女は、眠そうに緩んだ瞼のまま、
周囲をぐるりと見渡した。
ふーん、とひとつ呟いたあと、
彼女はパソコンをおもむろに開いた。
職務怠慢の塊である萩原あなたの下の名前とは、
とても思えない光景だった。
ちなみに今は七月だが、
このふたりの会話の内容が 萩原の勤務態度を
よく示している。
「あり得ない…」と呟くふたりの横で、
コピー機が無機質な印刷音を立てた。
出てきたコピー用紙を、ひらりと手に取る。
彼の黒曜石の瞳には、
無機質で 冷たいゴシック体が映っていた。
_________「我は円卓の騎士なり。」












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。