阿部side
雑誌撮影が終わって一息ついた頃、
今度はインタビューのために別室へ通された。
個人のやつとペアでのやつと2回、インタビューがあるらしくて。
まずは個人のから。
一人ずつ記者さんと部屋で話して、次は俺の番。まぁ、聞かれたのは最近のマイブームとかメンバーの事とか色々。ありきたりな質問が多くて答えるのも簡単だった。
でも問題はここから。次のペアインタビュー、俺の相手がめめなんだよね、、
正直複雑だ。
一緒に居たいけど緊張するから居たくない、みたいな。
名前を呼ばれてめめと二人、用意された部屋に入る。
🖤「阿部ちゃん、どうぞ」
めめが椅子を引いてくれて腰掛ける。こんなところまで気遣ってくれるの、めめの良いところだ。
記者「それでは、質問しますね。回答とそれについて少しお話を聞かせてもらっても良いですか?」
記者さんの問いかけに二人頷いていろいろな質問を受けた。
時々、隣同士に座っているからか、手と手や足と足が触れ合うのに一々反応してしまうけど、これは仕事だと言い聞かせてなんとか乗り切る。
記者「それでは、最後の質問です。もし、メンバーの誰かと付き合うなら、誰が良いですか?」
心臓がドキン、と飛び跳ねた。
🖤「え〜、難しいですね笑。SnowManにはカッコいい人いっぱい居るからなぁ」
💚「いや、めめもカッコいいからね?」
🖤「え?ほんと?嬉しいなぁ笑」
動揺を隠すために平然を装って軽口を叩く。
咄嗟にカッコいいなんて言ってしまったけどこれもパフォーマンスの一つだとめめには解釈されてるんだよな……
あ、でもそんな笑顔で見つめないでください。心臓が煩いので……
それより気になるのはめめの解答だ。
でも、めめあべでインタビューというこの状況。俺の名前を出すのがマストなんじゃないかな、、読者さんも期待してるだろうし、、
そんな淡い期待も持ちながら煩い心臓に手を当てる。そっとめめの言葉に耳を傾けた。
🖤「ん〜、迷いますけど……」
🖤「しょっぴー、ですかね?」
💚「…、」
あぁ、俺じゃなかったみたいだ。
そりゃそうだよね。
都合よく俺を選んでくれるわけないし。
流石に俺ばっかでもヤラセとかと勘違いされちゃうかもだし。
そう考えたら結構良いんじゃないか、めめの解答。
めめなべ、も人気あるしね。
勝手に期待して馬鹿みたい。
記者「では、阿部さんは?」
気がつけばもうトークも終わっていて残すは俺の回答だけだった。突然振られたからちょっと戸惑う。
えーっと、どうしよ。こういう時どう答えれば……
ここでめめを選んだら「相思相愛じゃない」なんて気まずくなっちゃうだろうし、、
よし、ここは!
💚「ふっかかなぁ笑やっぱ安心感があるというか……」
ごめんふっか。同期、利用させてもらった!!
🖤「阿部ちゃんとふっかさん。確かに安定感の塊だね笑」
💚「でしょ〜?」
ズキズキと、痛いぐらいに何故か苦しい心臓を無視して自分の顔に笑顔を貼り付ける。
だめだよ、欲張ったら。
こんなので傷ついてる自分が恥ずかしい。
記者「インタビューは以上です。ありがとうございました!」
記者さんに軽く会釈して、めめと二人部屋の外に出る。とん、と肩が触れてまた心臓が高鳴る。
🖤「ねぇ、阿部ちゃん。今日時間ある?」
💚「へ、」
楽屋に戻る廊下を歩いている途中でめめに話しかけられる。思わず間抜けな声が出てしまった……恥ずかしい…、
💚「今日?この後は何も無いけど……」
🖤「そうなんだ。良かったらご飯でもどう?」
💚「え!」
首を傾げながら笑いかけてくるめめ。顔が熱い。というかご飯のお誘い……?嬉しいな…、
🖤「嫌だったら、全然良いんだけどね?」
💚「ううん!そんなことないよ、行こう!」
🖤「分かった、お店予約しとくね?」
💚「うん、」
好きな人と、ご飯……か。
手を当てて緩んでいるであろう口元を隠す。
🖤「それとさ……」
💚「?」
隣を歩いていためめが急に立ち止まる。
🖤「少し、相談に乗ってもらいたいんだけど…、、」
💚「……相談?」
🖤「うん」
いつになく真剣な瞳で真っ直ぐ見つめられて思わず息を呑む。
相談って、何……?
え、分かんないよ、、
💚「えっと、俺なら……全然聞く、けど…」
🖤「!」
取り敢えず首を縦に振ると驚いたように目を見開くめめ。
🖤「ありがとう。じゃあ30分後ぐらいに入口で!」
💚「わ、分かった!」
それだけ言い残すとたっと駆け出して楽屋とは別の方向の曲がり角に消えていく。
俺は慌てて返事をしてめめを見送った。
どこいったんだろ、、楽屋はおんなじ筈なのになぁ。
少しの疑問を持ちながらも俺は楽屋の方へ歩き出した。
めめと二人でご飯。
その約束をした事実に浮かされながら。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。