第6話

6話◁*
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2024/02/20 10:00
翔太side



少し、ほんとに少しだけね?期待してたところもあった。


いつもより大分早く起きて、することもないからもう仕事に行こうかなって。


今日はメンバー全員で仕事、ってことは前日から頭に入ってた。楽屋の扉を開ける時、もしかしたら阿部ちゃんがいるんじゃないかって。ちょっと緊張した。


そしたら案の定、スマホをじっと見つめる阿部ちゃんが居てさ。


突然の俺の登場に驚いてんのが可愛くて。あぁ、早く来てよかったって今更思った。


驚く阿部ちゃんの顔を見てたらなんだか赤くなってる。最近はインフルとか流行ってるから熱かなって心配になって阿部ちゃんのおでこに手を当てたら。


更に赤くなっちゃってさ。
「ちかい」なんて声を小さくしながら言うの。その顔は反則だって。って思いながら阿部ちゃんから離れた。


あぁ、やだやだ。
俺別に本気じゃないのにな。


報われない恋してんのに阿部ちゃんに本気になりそうで怖い。


阿部ちゃんの整った横顔をなんとなく見つめてたら、急に阿部ちゃんと目が合って。心臓がドキリとした。


なんか、話すことないか。と考えてたら鞄の中にラムネが入ってるのを思い出す。確か阿部ちゃんが好きって言ってたやつ。


3個ぐらい手に乗せてやったら分かりやすく口元が綻んでふわって笑うから。


その笑顔、ずっと見てたい。って思っちゃうんだよな。
















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めめside


集合10分前。メンバー全員で雑誌撮影ということで用意された楽屋の中に入ると既に俺以外の皆は揃っていた。
  

珍しいな、と思いながら挨拶をする。久しぶり、とそれぞれ声を掛けてくれて、やっぱり9人で居るのはあったかいなって思った。


その中に見つけた、楽屋の隅に座っているしょっぴー。視界に入った途端、無性に嬉しくなって思わず笑ってしまう。


💗「蓮?どした?」


隣りに居た佐久間くんに不思議そうな顔をされたけど何も言わず流しておいた。


俺が失恋しちゃったあの日。俺は夜しょっぴーに電話をした。失恋のショックを拭いきれなかった俺は人肌に飢えていて。3コールぐらいで出てくれて、もしもし、と声が聞こえるだけで嬉しかった。


しょっぴーからは何も触れてこなくて。楽屋とかでするただの世間話の延長みたいな感じの電話だったけど、逆に俺はそれが心地良くて。



それから数ヶ月経って、


俺の力でこの人を幸せにしたいと強く思った。


所謂、恋だ。


切り替えるのが早くないか、ってきっと思われちゃうよね。失恋をきっかけにまた別の人に恋しちゃうんだから。正直俺も自分の気持ちにびっくりしてるし、未だ整理がついていない。


けどこの気持ちを大事にしたいから。


俺は強気でいくよ。
絶対にしょっぴーを幸せにする。
























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