調合室の扉の外からできるだけ大きな声で声を掛ける
生徒が先生に聞きたいことがあるから職員室までやってきた
それと同じことだ
何ら不思議なことでもない
そう言うと、また優しい笑顔を作り、頭を撫でる
そして、考えていたことを見透かすように「聞きたいことはこの研究室についてですか?」と問いかけられる
一瞬、胸がドキンと大きくビクついた
そう言って、母親が子どもに絵本の読み聞かせをするように今の世界についてや研究室が出来た歴史まで教えてくれた
自分たちが目覚めたとき、ドクターという最も鉱石病に詳しくて研究を進めていた人が亡くなり、その人が此の研究室を建てた、とか
それだから今の研究室内で一番権力を持つ人はいない、とか
急にそう褒められて、顔がカアっと赤くなる
そこで、計画とは無関係で一つ、個人的な疑問が頭を埋め尽くした
つい、敬語になってしまった
そして、言った後に、後悔した
顔から笑顔が消えたのだ
否、笑顔が消えたわけではなく、目から光が消えた
闇に染まったのだ
目が笑っていない、とはこのことを指すのだろう
いつもの温かい声ではなく、冷たい、身体を突き刺すような声だった
パチっと、眼帯を外す
その仕草は時間にして一分もかからなかったのに、ひどく長いような気がした
オッドアイ
そして、体のあちこちに原石が現れた
やはり後悔した
あの眼帯は、鉱石病を制御していたのと同時にオッドアイを隠していたのだ
言っていることは優しいはずなのに
とても怖くて、怖くて
声は変わらず冷たかった
そう言って、目線を僕と同じくらいまでに下げて、額に優しくキスを落とした
震える僕の体を抱きしめて
そして、灰が入った瓶を僕に握らせた
その瓶の中には、灰塗れだが綺麗な黄色の黄色の原石が光っていた
心がざわついた

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!