第29話

story【黒王子side】
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2018/06/11 09:19
みく
ねぇ、玲二
みく
ねぇってばー
雅 玲二(みやび れいじ)
うっせーな。何だよ
休日もろくに休めないなんて、

最悪だっつーの。
近くにあった缶コーヒーを開け


一気に飲み干す。


何か他事でも考えとかなきゃ


思い出しちまう…


アイツの


悲しそうなあの顔を。


何でアイツ、


あんな顔したんだよ。


こっちが泣きたいっつーの。


優が好きなら…


最初の頃みたいに


冷たく俺をあしらっとけばいいのに。




みく
ねぇ、また優愛のこと考えてたでしょ
雅 玲二(みやび れいじ)
ッ、んなんじゃねーよ
あの日以来、


なぜか俺の側を離れようとしないみくは、


休日はいつも俺の家に勝手に押し掛けて


勝手にまるで自分の家のように


ぐーたらしてる。
みく
…いい加減、私のことも見てよ
雅 玲二(みやび れいじ)
…はぁ?
みく
私はどんな玲二も好きだよ。
よそ見なんかできないくらい、
玲二に夢中なの
雅 玲二(みやび れいじ)
……
コイツは本気なんだと。


本気で俺のことを好きでいてくれてるのだと。


目を見ればすぐにわかった。


ずっと、小さい頃から


かわらず、


ダメな所も全部全部ひっくるめて


俺のことを心のそこから想ってくれてる奴は、


コイツだけなんだと。



分かってる。


コイツの気持ちに


いつか答えてやらなきゃいけないのかもしれない。


けど、

こんな気持ちのまま付き合うことなんかできない。
雅 玲二(みやび れいじ)
もうちょい、待ってくれ。
今はまだ…気持ちの整理がついてない
きっと、


すぐに忘れられる。


こんな気持ちなんか。


すぐに…すぐに…。



きっと、アイツはもう


俺のことを嫌いになっただろうな。


いや、元々嫌いだって言ってたっけ?
みく
玲二…?
雅 玲二(みやび れいじ)
ッ…何だ、…コレ…
ポツポツと滴り落ちてくる何かは、


俺のズボンにシミを作っていく。




……。



手が、



足が、



震えてくる。



あぁ、もう我慢の限界なんだ。



結構、辛いな…


もうアイツと話せなくなんのかな。


嫌だな。



でも、そんな壁を作ってしまったのは…



俺だ。



嫌いになれたら…




楽なのに。
自覚するたび、



苦しくなる。

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