とはいえ徒歩5分でもずぶ濡れになりそうな勢い
『あなた!これ羽織り!』
侑くんは私の頭に着ていたジャージを被せてくれた
当然だけど侑くんの匂いがする
「あ、汗臭かったらごめんな?」
「全然、いい匂い・・・」
(あ、なんか変態みたいなこと言っちゃった!!!)
恐る恐る侑くんの顔を見ると顔真っ赤で気まずそうなに目線を逸らしてた
「ま、まあええで・・・」
『じゃああなた!行くで!!!』
「うおっ!」
そう言うと侑くんは勢いよく私の手を引っ張って雨の中を駆け出した
強く握る侑くんの手を気づかれないようにそっと握り返した
『お、お邪魔します・・・!!!』
「はい、どうぞ」
侑くんに引っ張られながらちょっと走って着いた家は凄く大きかった
"宮"と書いてある表札
玄関すらもなんか広かった
『適当に座ってて!トイレでこれに着替え!』
侑くんは私にTシャツを投げてきた
私の服がびちょ濡れで風邪を引いてしまうからと気遣ってくれたのだろう
侑くんのかな、おっきい
「侑くんありがとう!じゃあちょっと着替えてくるね!」
「おん!」
私は侑くんにトイレあっちや!と指さされた方に向かっていった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。