第6話

心を奪われた出来事
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2018/08/14 05:17
そうー、それは中学2年生の頃のこと
真面目でまだ純白だった…苑梨は放課後の学校の
廊下を一人歩いていた
苑梨
そろそろ帰ろうかな
帰ったらご飯、作らなきゃ
カバンを持って何個もの教室を通りすぎていく
しかしー、多目的教室……を通り過ぎようとした
その時だった
そこに、人がいた……いや二人いるけど一人は
ボコボコにやられている
そんなー最悪な光景が目の前に広がっているのに
私は脚が動かなかった
いやー動かそうとしなかったんだ
すごく……心を奪われた。
あの人にー
立ち尽くしていると、中から人が出てきた
不良
ぐっ……はぁっ!!
君……何してるんだ……!?
ここから消えた方が、いいぞっ
っ……痛っててて
口からは血が出ていて脇腹を抱え脚を引きずり
懸命に歩いていく
苑梨
っ……………………
出ていった人を目で追いながらも私の気持ち、心
全てはー教室に残った『彼』にあった
不良
あれぇ?女の子じゃん
ここでなにやってるの?
苑梨
えっ……と……
彼が近くにやって来るに連れて心臓が激しくなる
苑梨
すっ、好きですっ!!
口からでた言葉は告白の言葉だった。
ーあぁ……私……不良相手に何言ってるんだろ……
よりによって不良なんて……最悪だ
???
ぷっ……あははははっ!!
面白いね、君!
気に入ったよ!
不良かと思っていた彼は私には普通の少年に見えた
拓海
オレ、東階宗 拓海
(とうかいそう たくみ)
中学2年生だ。
まぁ、見た通り不良のリーダー
っーとこかな?
苑梨
私っ、瀬戸川 苑梨です
私も中学2年生です……!
帰るつもりが、拓海くんと長いこと話してしまった
でも、長いこと話したお陰で仲もよくなった
拓海
オレ、お前好きだ!!
彼氏になる?
その瞬間、パァァァっと笑顔になる
苑梨
はいっ、喜んで!!
拓海
そーだな……でも不良の彼女って
大変だぞ??
お前、純白だし不良とつるみそう
にも見えねーし近くにいると
狙われっぞ?
苑梨
なら、私不良になるよ。
拓海くんと一緒にいたいから
拓海くんと一緒にいられるならどんなことでも
受け入れられる
拓海
あははっ、そうかよ!
じゃあ不良への第一歩!
髪、染めるか!
茶髪も勿体ねーけどしょうがねぇ
苑梨
うんっ染めてくる!
なんなら拓海くんみたいに
私もピアス着けようかな?
きっと不良になれるよね!
すると、拓海くんはポケットから何かを取り出す
拓海
じゃあ、コレあげるよ
お前はオレのモノって印、な♪
渡されたのは拓海くんの耳についているピアスと
同じピアス
苑梨
やったぁっ!!
ーそうして……私は一つの恋によって
真面目から不良へと変わった
いきなりの変貌にクラスの子達にはビックリされた
だけど拓海くんと一緒にいられるなら……
不良にでも何にでもなってやる。
すごく強い勇気が芽生えていた

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