そうー、それは中学2年生の頃のこと
真面目でまだ純白だった…苑梨は放課後の学校の
廊下を一人歩いていた
カバンを持って何個もの教室を通りすぎていく
しかしー、多目的教室……を通り過ぎようとした
その時だった
そこに、人がいた……いや二人いるけど一人は
ボコボコにやられている
そんなー最悪な光景が目の前に広がっているのに
私は脚が動かなかった
いやー動かそうとしなかったんだ
すごく……心を奪われた。
あの人にー
立ち尽くしていると、中から人が出てきた
口からは血が出ていて脇腹を抱え脚を引きずり
懸命に歩いていく
出ていった人を目で追いながらも私の気持ち、心
全てはー教室に残った『彼』にあった
彼が近くにやって来るに連れて心臓が激しくなる
口からでた言葉は告白の言葉だった。
ーあぁ……私……不良相手に何言ってるんだろ……
よりによって不良なんて……最悪だ
不良かと思っていた彼は私には普通の少年に見えた
帰るつもりが、拓海くんと長いこと話してしまった
でも、長いこと話したお陰で仲もよくなった
その瞬間、パァァァっと笑顔になる
拓海くんと一緒にいられるならどんなことでも
受け入れられる
すると、拓海くんはポケットから何かを取り出す
渡されたのは拓海くんの耳についているピアスと
同じピアス
ーそうして……私は一つの恋によって
真面目から不良へと変わった
いきなりの変貌にクラスの子達にはビックリされた
だけど拓海くんと一緒にいられるなら……
不良にでも何にでもなってやる。
すごく強い勇気が芽生えていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!