若井滉斗side
フェーズ2が始まって、嬉しいことに忙しい生活を送っていた。
元貴から送られてきたデモを聞いて、ひたすら練習して、レコーディングをして、時間ができたと思ったら、イベント出演、インタビューを受けた。
フェーズ2のビジュアルはだいぶ攻めている。
自分たちが一番よくわかってる。
だから音楽のクオリティを変えないことがもちろん大事で、そのために必死に練習をした。
いつからだろうか。ギターに触れなくなったのは。
大好きなはずなのに、なぜか触ることすら怖くなった。
気がつくと涙が出ていた。
元貴が聞いていた時は流石に焦った。
けれどうまく隠せられた。
レコーディングの日、ソロも練習すらしないまま入った。
怖くて、触れなかったギターを触って抱えた瞬間、体の芯から震えて、そのまま床に倒れた。
本当に怖かった。もう一生ギタリストとしてステージに立てないかもしれない。
そう思いながら僕は目を閉じた。
目を覚ますと、スタッフに声をかけているバタバタなりょうちゃん、若井、若井と僕の名前を呼び続ける元貴がいた。
心配ないよと伝えてももう隠せないみたいだった。
みんな、ごめんね。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!