第2話

一話
14
2023/11/01 11:51
長く細いため息を吐いて、薄く目を開く。
クラスメイトが僕に水をかけて笑う。
僕を罵って笑う。
僕に仕事を押し付けて笑う。
僕のノートに罵詈雑言を書き連ねて、笑う。
ゲラゲラ、ケラケラと。
うるさい、うるさい、うるさい!!
息が苦しくなって目を覚ました。
冷房の効いた部屋だと言うのに、酷く汗をかいていた。
何処かから、セミの鳴き声が微かに聞こえた。
一階に降りる。両親はいない。
水道の水をコップいっぱいにいれ、飲み干す。
ゲホゲホとむせた。
流しに乱暴にコップを置く。
そのまま流れでソファへと倒れ込んだ。
ベトベトの服のままだけど、いいや。
三谷 秋斗
三谷 秋斗
はー
長く細い息を吐いた。
僕はいじめられていた。
原因は些細なこと、クラスのリーダー格の男子が好きだった女子が、僕に告白してきたから。
僕は恋人はいらない、と断ったけど、男子は納得してくれなかった。
いじめられてから半年ほど経って不登校になった僕は、両親にも相談できず、なんなら呆れられた。
両親は、優秀な兄にばかり構うようになった。
僕が部屋にこもり続けることに、誰も文句を言わなかった。
それが、ただただ好都合だった。
でも、僕だって学校に行きたい。
三谷 秋斗
三谷 秋斗
あいつら、全員死んでくれないかな。
無意識にポツリとこぼした言葉に、思わず失笑した。
そうだ、クラスメイト全員、苦しんで苦しんで死ねばいい。
開けていた上窓の方から、光とともに紙がひらひらと落ちてきた。
三谷 秋斗
三谷 秋斗
なんだ、これ。
床に落ちたものを拾い上げた。
紙の書き出しは、こうだった。
初めまして、親愛なる願い人へ。

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