星組に配属されて初めての全体稽古の日。
広いお稽古場。
響くピアノの音、真剣な空気。
私はというと、緊張で手も足も震えていた。
自分でも分かるくらい、プルプルしている。
その様子を、少し離れた場所から見ていた人がいた。
休憩の合図がかかると同時に、さりげなく隣に座ってくる。
天飛さん。
何も言わず、そーっと私の手に触れて、
キュッと優しく握った。
びっくりして肩がピクンと上がる。
彼女はそれを見て、クスッと笑った。
低くて優しい声。
包み込むような笑顔。
そしてそのまま、ポンポンと頭を撫でられる。
その一言に、胸の奥の強張りがスッとほどけた。
思わずフニャっと緩んでしまう。
そう言うと、彼女は満足そうにニコッと笑った。
少し離れた場所では、礼がその様子を見ていた。
その隣には瀬央。
礼が小さく笑う。
瀬央は腕を組みながら、柔らかく微笑む。
その会話に気づかないまま、私はまだ天飛さんの隣。
周囲の上級生達も、コソコソと囁きあっていた。
「何あの2人、可愛い……。」
「飼い主とネコみたい。」
「かのん、あんな優しい顔するんだね〜。」
クスクスと温かな笑いが広がる。
天飛さんがそう言う。
気づけば、さっきまで震えていた手は落ち着いていた。
その言葉が、魔法みたいに心に響く。
稽古再開の声がかかる。
立ち上がるとき、彼女が小さく囁いた。
その一言だけで、背筋がスッと伸びた。
初めての稽古。
不安でいっぱいだったはずなのに、
気づけば、心の中には温かな星の光が灯っていた。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!