第17話

拾陸︰温かく優しい匂い
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2021/03/31 23:31 更新
炭治郎side


我妻善逸
我妻善逸
うわっ!?
竈門炭治郎
竈門炭治郎
?!!



思わず引き戸から手を離してしまった。



引き戸が震える程、大きい声だった。




一体、誰だ……………?




俺はもう一度引き戸に手をかけ、恐る恐る扉を開ける。





???
うまい!うまい!



車両の前方の席に座っていた男性が叫んでいた。



『うまい!』と連呼しながら、弁当を食べている。


男性の前には山ほどの弁当が積まれていた。






所々赤く染まった金髪に、炎を思わせる羽織り。



俺はすぐに分かった。







炎柱の煉獄杏寿郎さんだ。



我妻善逸
我妻善逸
あの人が炎柱?
竈門炭治郎
竈門炭治郎
うん。


俺と善逸は再び、煉獄さんを見る。


我妻善逸
我妻善逸
ただの食いしん坊じゃなくて?
竈門炭治郎
竈門炭治郎
…………うん。



あの人は、確かに煉獄さんだ。






???
煉獄さん、もう少し静かにして下さい。
他の乗客の方に迷惑ですよ………。
煉獄杏寿郎
煉獄杏寿郎
うまい!うまい!
???
それは十分、分かりましたから…。

そして煉獄さんの隣には髪には朱い手絡てがらをして、雪の結晶の模様をした羽織りを着た女性が座っていた。



その女性には、善逸がいち早く気づいたようで。




我妻善逸
我妻善逸
あなたさぁぁぁん♡


雪柱の水無瀬あなたさんだった。




善逸は先程とは一変、デレデレと顔をほころばせながら、あなたさんのもとに向かった。



それに続き、俺と伊之助も煉獄さん達のもとに足を運ぶ。



あなた
あ…善逸さん、炭治郎さんに
伊之助さん…!こんばんは。
我妻善逸
我妻善逸
会えて嬉しいですぅぅぅぅ♡♡
嘴平伊之助
嘴平伊之助
よっ!雪リボン女!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
あなたさん!こんばんは!
って、伊之助!!
その呼び方、やめろ!!



俺は伊之助の言動に慌てて注意する。


竈門炭治郎
竈門炭治郎
あなたさんは柱なんだぞ?!
あなた
ふふっ、炭治郎さん大丈夫ですよ。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
………すみません。
あなた
謝らないで下さい…!
お気遣いありがとうございます。



あなたさんは、優しく俺に微笑んでくれた。



そんなあなたさんからは温かく優しい匂いがした。



煉獄杏寿郎
煉獄杏寿郎
うまい!うまい!!


煉獄さんは俺達を気にもせず、弁当を
食べ続けている。

竈門炭治郎
竈門炭治郎
れ、煉獄さん……?



煉獄さんはやっと振り向いてくれた。




かと思えば、




煉獄杏寿郎
煉獄杏寿郎
うまい!!


真っ直ぐ俺の目を見つめてそう叫んだ。






竈門炭治郎
竈門炭治郎
あ、もう、凄く分かりました…。




俺はあなたさんと目が合うと思わず苦笑いを
してしまった。





あなたさんは、そんな俺を見てくすっと笑った。


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